menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

製造業

第175号 簡単なことほど間違いやすい

柿内幸夫─社長のための現場改善

 久しぶりに名古屋のトヨタテクノミュ-ジアム(産業技術記念館)に見学に行きました。モノづくりの原点に触れることができます。行く度に先人の知恵と勇気に感動します。 http://www.tcmit.org

●トヨタテクノミュ-ジアム

kaki175-1.jpg

●日本の誇り、豊田佐吉発明のG型自動織機。

kaki175-2.jpg

 今回もモノづくりの基本的なところに焦点を当てて、各社で実行している良い改善をお伝えしようと思います。

 現場でカイゼンをしていて、ものすごく難しそうな問題が意外と簡単に解決することがある一方、昔からある「普通に、当たり前のこと」が相変わらず問題として残っていて、それが解決できないということがよくあります。

 例えば、製品を決められた数だけキチンと箱に入れる、すなわち「数を数える」といったことです。

 苦労してせっかく良いものを作ったのに、最後に箱に入れるときに数え間違えて少なく入れたために、お客様からすごく怒られてしまったといった経験をお持ちの方も多いのではないかと思います。

 以前この問題を抱えていたある会社の社長が、「全くうちの従業員は情けないよ、数も満足に数えられないんだから…。子供じゃないんだから、数くらいしっかり数えてもらいたいもんだよ。」と嘆いておられました。

 しかし、私はそうは考えません。数をいつも正確に数えるということは決してやさしいことではないのです。むしろとても難しいことだと思います。

 例えば目の前に一本のボルトがあったとして、このボルトは一目で1本と分かるので、数えません。2本でも、あるいは3本でも、数えないで数は言えると思います。

 コンパクトに分かりやすく並べてあれば、5本くらいまでは数えないでも、見ればその本数は分かるものです。

 ところが、目の前に20本のボルトが置いてあって、「さあ何本でしょう?」と聞かれたら、これは数えなければ答えられません。一回数えても本当に正しいか心配になって、もう一回数えなおすかもしれません。

 一回だけならまだしも、長時間にわたってそれも10より大きい数のものを正確にカウントし続けることになれば、これはとても難しいことだと思います。

 ですから、「子供じゃないんだから」ではなく、「大人なんだから」、改めて一番いい数の数え方を研究するべきだと考えています。

 先日、麺を作っている食品会社のN社にお伺いしたときのことです。残念ながら、できたおそばを箱詰めするときに数え間違えて少ない数で出荷してしまい、お客様にご迷惑をかけてしまったということで、社長と従業員のみなさんと一緒に現場で現物を前にして、数の数え方の改善をしました。

 一箱に20袋の個包装されたそば玉を入れるのですが、一つひとつを手にとって、外観目視検査と包装の破れがないかの圧迫検査をしたうえで箱につめるという、大変丁寧な作業でした。

●N社の改善風景


kaki175-3.jpg 実際に作業をしている方たちだけでなく、営業の方にも入ってもらって合計4名の方々にそれぞれ作業をしてもらい、その動作をみんなで観察しました。

 20袋のつめ方は、3段で下から6袋、6袋、8袋です。すなわち置く段によって数が違うということでこれはかなり難しいやり方だなあと私は思いました。

 慣れている方は難なく実行しましたが、不慣れな営業の方は「イチニイサンシイ…」と声を出して作業をしていました。

 一回や二回であれば何とかこなせるけれども、もしこれを数時間継続するとなると、一回くらいは間違えそう…、と誰もが思っていそうな作業でした。

 そこでみんなで意見を出し合いました。現場・現物という状況はすごい力があるものなのですが、目的を全員で共有化した上で実際のことが目の前で起きると、あらゆる人が自分の考えを明確にできるのです。

 これが会議室での説明や議論だとこうは行かないと思います。実に多くの方が「なるほど!!」と思う意見を述べられ、その場ですべて実験しました。

 その結果、箱の使い方と詰め方を工夫して、1段に10袋を詰めて2段詰めにすることにしました。10袋は5袋×2列です。

 こうすると、段ごとに数が変わらないのと、5という見やすい数のみなので、見れば数を確認できるようになりそうです。

 それ以外にも、はかりや台の位置をみんなでどんどん改善して下さり、これまでの心配はかなり解決されたのではないかと思いました。

 やはり改善の基本は、こういう基本を大事にすることだと思います。ちなみに、これは「ABC管理」と呼ばれています。

 (A)当たり前のことを
 (B)バカにしないで
 (C)ちゃんとやる

 本日のコラムを通して、皆様にもABC管理の大切さを分かっていただければと思います。

kaki175-4.gif

copyright yukichi

※柿内先生に質問のある方は、なんでも結構ですので下記にお寄せください。etsuko@jmca.net

 

第174号 キャップドゥサイクルで変化に対応する前のページ

第176号 「今日中」ではダメです次のページ

JMCAおすすめ商品・サービスopen_in_new

関連記事

  1. 第188号 固定観念を捨てよ

  2. 第273号 日本のモノづくり、来年の展望

  3. 第165 号 原丈人さんとザンビアに行きました

最新の経営コラム

  1. 「過去の歴史上の失敗から経営者は何を学ぶべきか」/『「超」入門 失敗の本質』著者 鈴木博毅氏

  2. 第168話 PADDA(パッダ) @名古屋市・栄 ~見事な肉料理

  3. 第67回 だから、中堅中小が攻め入れられる!

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 製造業

    第279号 設備はチューンナップできて一人前。内製化でオンリーワンを目指せ~その...
  2. マネジメント

    情報を制するものが勝利を手にする(11)民衆の力を信じて国境を開く...
  3. 社員教育・営業

    第25話 成長課題 管理職の部下育成術(25)
  4. 後継者

    第82回 自分を立て直す事を最優先する
  5. 社長業

    Vol.25 自社の利益モデルは一体何だ?
keyboard_arrow_up