街づくりには覚悟が求められる!
街づくりというのは、複数の要素(解消すべき課題点や、関係者の対立など)が絡み合い、とても難しいことは言うまでもありませんね。
私は9月、ふたつの全く異なる地域を取材してきました。ひとつは兵庫県の城崎温泉です。7つの外湯があることで知られる人気の温泉街ですね。コロナ禍が一段落した今年度(2023年度)は50万人もの宿泊客を見込んでいるといいますし、復活したインバウンドの集客もうまく進展している様子でした。
この城崎温泉ではいま、「次の100年」を見据えた戦略づくりに地域を挙げて取り組んでいるそうです。地元の旅館を営むご主人をはじめ、多くの地元民が集い、いくつもの提言を策定している、とのこと。そのなかのひとつが、温泉街の中心を「クルマ優先から人優先に変える」という提言です。
具体的には、温泉街に接する場所に駐車場を設けて、城崎温泉を訪れる人はそこにクルマを停めてもらい、なんらかの仕組み(乗合のクルマ? 電気自動車など?)で中心部に入ることを促すというもの。さらには温泉街の中心を貫く道を一方通行に変えて、その点でもクルマの交通量を大幅に絞ろうという施策です。
これを実行するとなると、コストもかかりますし、なによりそれぞれの宿にすると、かなり毎日の移動(宿泊客を乗せての案内を含む)が面倒なことになります。それでも、「ここは地域の覚悟が問われる」と、取りまとめ役である宿のご主人は力説していました。
そうなのですね。街づくりには覚悟が求められるわけです。個人個人にとってマイナス要素がそこに生じたり、地域全体で見ると想定外のコスト負担を強いられたり、という具合にです。
それを乗り越えて、覚悟を地域で共有できるかどうか。その地域に暮らし、仕事に携わるそれぞれの個人をも含め、覚悟をもてるか。ここが重要でもあり、難しいところでもあるわけです。