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第20回 「洗心の行」

社長の「氣」

 何事を行うにも「心」が先行します。心をはっきり使うから物事は上手く運びます。計画を立てるのも、段取りを立てるのも、心をはっきり使う方法の一つです。
 しかし、心をはっきり使うことが出来ないときがあります。
 一つは心の状態がマイナスになっているときです。氣が欠乏するとマイナスに陥りますので、こういうときは無理に心を使うよりも、どうしたら氣が交流して新たな氣が補充されるかを工夫すると良いです。これについては、また別の回で詳しくお伝えしたいと思います。
 一つはルーティンで行うときです。毎回、決まった手順、決まったやり方で進めると、心をはっきり使わなくなることがあります。
 心身統一合氣道の技の稽古でも、身につけるために同じ技を練り込むために数多く稽古するのですが、このときルーティンとなってしまう人がいます。一回ごとに心をはっきり使い、それを繰り返すから身につくのに、惰性でいくら繰り返しても意味がありません。
 一つは過去の体験を引きずるときです。特に過去に大きな成功体験を得ると、新しいことに取り組んでいるにも関わらず、その体験をなぞって、心をはっきり使わなくなります。
 この「なぞる」という心の使い方は、ほとんどの場合は無意識でしています。自分で氣づくのが難しく、本当に恐ろしいことです。アスリートを指導していると、前の結果を引きずって、なぞってしまう選手がいます。自分では心を使っているつもりが、全く使えなくなっているので結果に繋がりません。前の結果が良くても悪くても、毎回、新たな氣持ちで臨むことが重要なのです。
 新年を迎えるにあたり、昨年の結果が良くても悪くても、ルーティンになったり、なぞったりすることがないように心の状態をリセットして臨むことが需要です。それによって、新年を迎えても、一つ一つのことに心をはっきり使うことが出来ます。
 心身統一合氣道会では、新年を迎えると「洗心の行(せんしんのぎょう)」を行います。これは寒中に水をかぶる行です。以前は鬼怒川に入っていましたが、水量が安定しなくなってから水をかぶるようになりました。どちらにしても、マイナス5度から10度の環境で行うものですので、決して簡単な行ではありません。未体験の方は「自分には無理だ」「とても出来るとは思えない」と言います。
 洗心の行は元々、先代の藤平光一が、自身の弱い心を強くするために始めた行です。本部道場(栃木)には、藤平光一の生家である代官屋敷が隣接しています。屋敷を囲む堀に一人で入っていたのが始まりです。それを見ていた弟子が「自分も加えて頂きたい」と参加するようになり、一人、また一人と増えて行きました。
 最も多いときは400人を超える弟子が鬼怒川に入っていました。現在は水をかぶる行場のスペースの制約で、100人程度の弟子が行っています。
 洗心の行には二つ目的があります。
 一つは臍下の一点に心をしずめて行うことで、自分が思っていたよりもずっと楽に行えることを体験することです。心を決めずに行うと地獄であり、何事を行うにも「心を決める」ことが如何に重要か、理屈ではなく実体験として理解出来るのです。やせ我慢や見栄には何の意味がないことも良く分かります。
 もう一つは、昨年あった良いことも悪いことも総て水に流して、心の状態をリセットし、新たな氣持ちで一年を迎えることです。私は7歳から35年間に渡ってこの洗心の行を続けていますが、お陰さまで毎年新たな氣持ちで一年を迎えられています。参加者には「風邪一つ引かなくなった」という方も数多くいます。
 この記事をお読みの社長・リーダーの皆様には、心の状態をリセットして、良い年をお過ごし頂きたいと思います。本年も宜しくお願い申し上げます。
 
 
 

 

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