この度『50代になったらしておくべき100のリスト 』という本をディスカヴァー21より上梓した。大手企業や各種団体での講座「人生後半にむけてのいきがい、健康、お金」の集大成版である。
今後死ぬまでのいきがいをどう見つけ、人生設計をするか。老後に必要な資金の獲得法や安心を得るため今やるべきこと。家族や友達との関係の見直し。100歳を超えても精一杯生き抜いていく体と心の習慣作りや親と自分のための準備、そうしたテーマを幅広くカバーしており、マニュアル本としても使える。
50代というのはどういう年齢なのだろうか。一つは疑いもなくこれまでしてきた仕事の成果を世に問う年代である。チャールス・ダーウィンが『種の起源』を出版したのが50歳。レオナルド・ダ・ヴィンチがモナリザをほぼ描きあげたのは54歳、ファーブルが昆虫記を書き始めたのは55歳。
50代で新たな挑戦に乗り出す人も数多い。例えば外食フランチャイズのマクドナルド。それ以前はジャズ演奏家、業務用ジューサーのセールスマンだったそうだ。日本でいえば伊能忠敬は50歳で酒・醤油の家業を長男に譲り、江戸に出て天文や測量を学び、55歳から日本地図作成のため全国各地の測量を始めた。
また、世界の大富豪は50代くらいになると慈善、社会貢献へとシフトしていくようだ。石油で世界一といわれる財をなしたジョン・ロックフェラーは幼少時より一定割合を寄付していたのだが、それが膨大になるにつれ、52歳以降は寄付先の助言者として牧師を、ついで息子を採用している。58歳で一線から退き、慈善事業を益々本格化させている。
鉄鋼王であり、また慈善家として名高いアンドリュー・カーネギーが慈善の教科書的存在といわれる『富の福音』を出版したのが54歳のとき。かれは「慈善は生前に行うべき」という信念をもち、事業におけるのと同等のエネルギーと知恵を使わなければよい慈善はできないと述べている。実際、彼はほとんどの個人財産を寄付に使い果たして死んだとされている。
自分の目指す方向が何であれ、人生後半を豊かに生きるために新しい羅針盤を手に入れることが必要で、それが50代ではないかと思う。その為には今までの生きざまの棚卸が必要である。その棚卸をもとに、自分は今後どんな人生を送ろうとしているのか、具体的にどういう方針で臨むのか、できるだけ詳しく検討する。拙著『50代にしておくべき100のリスト』をそんな作業の手助けに使って欲しい。
羅針盤を使うからには目的地が必要である。あなたの目的地は何処だろうか?それをしっかり把握することから始めてほしい。何はともあれ、とことん人生を考え、最後まで努力を忘れず、骨身を惜しまず、「ああいい人生だった」とつぶやいて死ねるような人生であってほしい。
榊原節子