昨今は電車に乗っていても、デパートでも、外国の人を多く見かけるようになった。学校、職場しかり。しかし私たち日本人の心の中にはまだ「同じような仲間がいい」という想いがあるのではないだろうか?
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- 第96回 多様な社員をもつメリット
企業が生き残り、成長するためには、多様性の受容と活用(インクルージョン)が必要だ。女性、外国人、身障者が、果たしてありのままの姿で受け入れられているだろうか?
今春、久しぶりにトロントを訪問したとき、ダイバーシティー先進地を見る思いがした。
同じカナダでも、モントリオールやケベックとはかなり雰囲気が異なり、同市には「皆OKよ」と言う雰囲気があった。
実際にダウンタウンを歩いていても人種は様々。「ここではどんな顔をしていても、どんな宗教を信じていても、皆受け入れてくれるからいいわよ」と友人が言った。100の言語が飛び交う移民の都市。正にダイバーシティーを地でいく。このような受け入れが、各国で進んでいけばよいのだろうが・・・世界の将来の方向づけの手本がここにはあるような気がした。犯罪発生率は低く、街は清潔で、フォーチュン誌が行った調査「世界で最も住みやすい都市」の1位にランクされたそうだ。
トロントを含む広域地区を統括する警察の催しものに参加した。スピーチする人は、皆カナダ人には違いないのだろうが、韓国系、中国系、メキシコ系、黒人ありで、こんな警察なら「文化的背景に対する配慮」は非常に高いに違いないと思った。英語を修得していない移民が侵す犯罪にだってスムーズに対応できよう。
日本がこれから成長し、世界に貢献するための切り札は「まだ十分に活用されていない女性」であり、「海外諸国からの才能を取り込む」ことであり、「高齢者を含めあらゆる人」を取り込む姿勢であり、それを可能にする知恵であると思う。人材不足に悩む中小企業こそ、まずこの運動の最先端に立って欲しい。
たしかに自分と同じような人が無難だし、付き合い易いかもしれない。しかし、全く背景の異なる人と接した時、始めは抵抗感があるかもしれないが、今まで気づかなかった自分に出会ったり、新しい考え、アイディアがひらめくのを経験する。自分の中でイノベーションが起こるのである。
ライフスタイルアドバイザー 榊原節子