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第47回 投資で世の中を変えていく

欧米資産家に学ぶ二世教育

資産家が寄付等の慈善を通して社会貢献を行うのはよく知られている。そこで今回は「投資という形態での社会貢献」に注目してみたい。

まず「エンジェル」としてのベンチャー投資がある。例えば「がんの治療薬」、「最先端のエネルギーや食糧研究」に自分のお金を投じる。採算ベースには合わない、時には雲をつかむような話、ベンチャーファンドでは手を出せない初期段階での投資に大資産家の名前が出てくる。残念ながら日本ではこうした「エンジェル」は限定版だ。

勿論うまくいけば大いに世界に役立つだけでなく、大儲けも期待できる。たとえ失敗してもその成果は学会或いは業界の知見に貢献するのだからやはり一種の社会貢献になる。ゆとりがあり、かつ社会貢献マインドがある人だからこそできる投資といっていい。

15年ほど前になろうか、ロックフェラー家のファミリーオフィス(一族の資産管理を行う機関)に行ったとき、代替エネルギー開発とか環境関連の会社、つまり社会の進歩に貢献する技術や革新的なシステムを採用している会社への投資に力を入れているという説明を受けたことがある。そこには「人類の福祉に世界的規模で貢献する」というロックフェラー家に代々受けつがれているファミリー哲学が背景にある。15年も20年も前、既にそうした投資を実行していたのを知って新鮮な驚きを感じたものだった。このように「投資」には自分が良いと信じる社会の実現のための手段としての位置づけもあるのである。

実際私が会議等で出会った資産家のジュニア達は特にこうした投資に熱心なように思われた。

具体的には、ガバナンスのしっかりしたとか女性に対する労働条件に配慮している、環境技術や医薬品開発等への投資のようであった。

今でこそ社会責任ファンドがあり、SCRは人口に膾炙し、その基準に基づいて企業を取捨選択することで社会変革に貢献しかつリターンをあげるという考えが根付いてきた。環境問題、社会問題、ガバナンス等がしっかりしているところへの投資は長期的にはよりよいリターンが得られるという主張も受け入れられ始めている。が、黎明期においては資産家の貢献が大きかったのではないだろうか。

 より直接的に社会を変えていく投資として昨今は「社会起業」が脚光を浴びている。社会に役立つサービスをビジネス手法を用いて提供しようとするものである。慈善は困窮している人への応急処置的な色彩が強いが、もっと根本的な自助努力を促すビジネスもその一つである。典型的な例はノーベル平和賞受賞者バングラデッシュのムハマド・ユヌスさんが始めたマイクロファイナンスである。彼はバングラデシュの女性たちに小額の資金を貸し付け、それにより彼女らの自活努力を援助したのである。資産家会議でも、国際ロータリーの会議でもマイクロファイナンスへの関心は非常に高いものがある。こうした「社会起業」の日本での例としては病児保育問題を業として行っているフローレンスが典型例である。環境問題でいえば、ゾウの保護を訴えるためにお金を使うというより、ゾウのフンを使った紙の製造を行うことでゾウの保護を促進するというのが社会起業のやり方である。お金に余裕がある資産家の中にはこうした社会起業への融資や援助を行うファンドを立ち上げる人もいるし、財団を通して資金援助をする人も多い。

榊原節子 

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