全面的であれ、セミリタイアであれ、引退する前に確立した「資金計画」に加え、
「健康」「幸福」「生きがい」を含めたプランニングが必要だ。
その際最も大切なのが「自分の価値感の再認識」ではないだろうか。
リタイアして「人生を楽しみたい」「生きがいのある生活をしたい」と願うにせよ、
「自分が何を求めているのか」はっきり認識していなければ自分に本当に適った生活計画は構築できない。
自分は何を求めているのかーー
1)美味しいものを食べ、きれいな服を着る、素敵な異性や友達と時間をすごす快楽型の生活か。
いやそれだけでは納得できない、
2)自分の能力を発揮する方がもっと満足できるのか。
いやそれだけでもダメで、
3)個人を超えたもの〔環境、社会など〕への関与、或いは他人に役立つことから得られる幸せ感が大切なのか。
或いは1)、2)、3)すべてなのか。
自分が求めているもの・生きがいを中核にすえた上で、日々の生活者としての健康やお金を管理する時間、
新たな局面を迎える家族や友達との時間等をバランス よく毎日の生活に組みこんでいくのだが、一番大切
なことは目的意識を持って生きるという姿勢なのではないだろうか。
画家や音楽家などが高齢になってなお意気軒昂なのは「意欲に満ち溢れている」からである。
「すばらしい作品を生み出したいという目的、渇望」があり、日々さまざまなことに感動し、それを作品に仕立てていく。
このメンタリティそのものが長寿向きなのである。
末期ガン患者も「その日を生ききる」「やりたかったことに挑戦する」などの目標を持つことで、
最期まで質の高い生活をおくることができるという。
マサチューセッツ総合病院の老人学研究所長マリリン・アルバート氏は、
80歳以上の1000人超を対象に何が「知的能力を高める」かを調査した。
結果、運動と共に「人生に目的意識をもつこと」をその促進要因としてあげている。
「目的意識」は生命力につながるのである。
榊原節子