フランス・アルザス地方コルマール近郊のニーデルモルシュヴィルに彼の有名な『フェルベール』がある。もう、5年くらい前になろうか、2014年のミシュラン東京で一ツ星に格付けされた『ラ・フィネス』のシェフ杉本敬三さんにご案内いただいた。
今回は、アルザスの懐かしい想い出とともにご案内しよう。
クリスティーヌ・フェルベールは、「コンフィチュールの妖精」と呼ばれている。実際にお会いしてみて妖精かどうかは別として、そのコンフィチュールはすばらしい。パリの有名シェフの間でも一目置かれているほどの存在らしい。
店内に入ると杉本さんが「ある程度のコンフィチュールは伊勢丹でも買えますが、ゲブルツトラミネールのコンフィチュールはこちらでしか買えないので、お土産にぜひ」とおっしゃった。その話を聞いて、女性陣がそのコンフィチュールにむらがった。
アルザス地方は複雑な歴史を辿り、ドイツの文化の要素を吸収した独自な文化圏だ。コルマールは戦災を逃れたようで昔の街並みが残っている。
実は初日、レンタカーで借りた車が故障して、レンタカーの店に電話したところ、やりとりで場所の地名が「〇〇ヒャー」としか読めなくて難儀した。電話の向こうの女性が「誰でもいいから捕まえて、電話機を渡すように」というアドバイスをしてくれたことで難を逃れたが、他のフランスのエリアとは違う雰囲気だ。
この『フェルベール』があるニーデルモルシュヴィル村はのんびりとした田舎の村で、人口300人だ。と言っても、コルマールにそんなに遠いわけではない。その村まで、キャリーバックを引きずって一時間かけてやってくる女性が結構いるという。とても日本人に愛されていて、日本人が絶えないそうだ。
私たちも日本人ということで、クリスティーヌさんから手土産をいただいた。彼女は日本人が好きだとおっしゃった。
『フェルベール』のコンフィチュールのバリエーションは、アルザスの四季の果実や地産品のバリエーションでもある。ジャムはすべて直径50cmの銅鍋で作られる。もちろん、ひとつひとつ、果物の状態を見極めながら、すべての工程を丁寧に手作業で行っている。
春にはルバーブとルバーブを使ったバリエーション、夏にはさくらんぼやラズベリー、アプリコットや桃、秋には洋梨や栗、林檎と楽しめる。
実際食べてみると他のコンフィチュールにないきれいな色合いだ。そして、なんといっても香りが高く果肉感が強い。これくらいのレベルであれば、食べ比べなくても秀でてすばらしいのがわかる。
特に、ゲブルツトラミネールのコンフィチュールは好評で、こんなことならスーツケースに詰め込んでくればよかった。
また、アルザスに行きたくなってきた。
フェルベール
Maison Ferber
18, rue des Trois Epis
68230 Niedermorschwihr