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日本型組織の弱点(6)転換期のリーダー像

指導者たる者かくあるべし

 タテ社会も運用次第

 これまで、「タテ社会」の悪弊ばかりを挙げてきたが、もちろん長所もある。組織上部から末端まで親分・子分の情的つながりで運用されるシステムだけに、集団の意見統一はしやすく、リーダーから末端までの意思の伝達は迅速に行われる。

 リーダーによる適切な決定と指示さえあれば、組織は機能的に動く。意見が統一されているので、動員力もある。

 元来、軍隊運用に適した組織形態だが、日本では、江戸時代において軍事を担った武士がそのまま行政組織を構成したので、明治以降も独特の官僚機構、さらには政党組織に引き継がれた。

 

 問われるリーダーの質

 わが国の官僚組織の仕事ぶりはその迅速さと緻密さから「世界に冠たる」と評価されてきた。

 スポーツ組織も、高校、大学のスポーツクラブは、まさに軍隊式に上・下の関係で有無を言わせず、鍛えることを是としてきた。“体育会系”と呼ばれる体質である。

 各クラブを束ねるそれぞれのスポーツ団体も、それを当たり前として運営されてきたが、いま、そのひずみがあちこちで露呈し始めて、ワイドショーの餌食となっているわけだ。

 暴力を伴う体罰指導は論外だが、「パワハラと言われようと、強い教育法が結果を生む」と、今も信じられていることが共通の問題点として浮かび上がっているようだ。

 企業社会についていうなら、親分・子分の信頼関係(温情と忠誠)で、タテ組織の迅速性と集中力という利点を生かすには、ある意味でワンマンと揶揄(やゆ)されるほどの、強い指導力を持ったリーダーが不可欠なのだ。

 

 新時代の組織を目指して

 しかし、タテ社会のトップに君臨しながらも、多くのリーダーたちはその指導力を発揮できないでいる。家族経営的なレベルならいいが、組織が大きくなると、トップの労力の多くは、派閥間の利害、権益の調整に費やされてしまう。調整型こそよきリーダーとして評価される傾向にある。

 さらに暴君的なワンマン経営よりも、部下の意見を取り入れるタイプが評価される時代でもある。リーダーシップ受難の時代だ。

 甲斐武田家に伝わった『甲陽軍鑑』は指摘する。「二代目、三代目は、一代で成り上がった大将の真似をしてはならない」と。

 「初代の成功は、危ない橋も渡ったが、それは天道の恵みがあったからだ。後継者がそれを表面的に真似ると必ず失敗する」

 武田信玄に仕えた高坂弾正は、武田家を潰すことになった後継者の勝頼に、それを伝えたかったのだろう。それだけに忠告は重い。

 

(書き手)宇惠一郎 ueichi@nifty.com

※参考文献
『タテ社会の人間関係』中根千枝著 講談社現代新書
『甲陽軍鑑・五輪書・葉隠集』相良亨編集 筑摩書房

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