この秋も様々な話題がありましたが、
ぼくにとって、特に大きな衝撃を受けたのが、
アントニオ猪木氏の逝去です。
言わずと知れた、日本を代表する人気プロレスラーであり、
参院議員としても活躍した猪木氏は、
少年時代のぼくのヒーロー。
プロレスラーとしての試合のカッコよさもさることながら、
型破りな発想と行動力には、しびれましたね!
イラクでの人命救助、北朝鮮でのプロレス興行、
そして、モハメド・アリとの世紀の一戦。
そのすべてに男のロマンがあり、スケールが大きい。
経営者やリーダーにも猪木ファンが多いと聞きますが、
それも納得。
最期に難病との闘いの末、旅立ったというのも、
波瀾万丈な猪木氏らしいかな、と思います。
そんな猪木氏、数多くの本を出していますが、
中でもイチオシしたいのが、今回紹介する、
『最後に勝つ負け方を知っておけ。』(著:アントニオ猪木)
これは初出版から約30年の時を経て、この6月に再発刊されたもの。
よくありがちな”追悼出版”とは違いますが、結果的には
我々への最後のメッセージになったような感があります。
当時、猪木氏は参院議員という新たな挑戦の道を歩み始めたばかり。
本書で語られていることは、実は、ビジネス書以上にビジネス書、
と言えるものです。
というのも、猪木氏はプロレスラーであると同時に、創業者であり、経営者。
類稀なるビジネスセンスを発揮し、黄金時代を築き上げた一方で、
後の暗黒時代に導いた張本人とも言われているあたりは、
ある意味、創業経営者の典型というか(笑)
そして、その型破りな発想は、今こそ必要に思えてなりません。
たとえば、
・可能性が50%もあれば、十分すぎる。なんでも面白くやってしまうというのが俺の主義。
・みんなが反対することほど、それが実現した時の実りは大きい。
苦労はあるだろうけど、十分に報われる。それが史上で初めて、
誰も手がけたことがないことならなおさら。
・ビジネスの世界には「人の行かぬ道に花あり宝の山」という諺もある。
他人の後追いばっかりじゃ面白くないしね。
そして、その一方で、
・俺の場合は、「挨拶」をすごく大事にしている。
これ、すごく当たり前のようでいて、割とおろそかにされているんじゃないかな。
しかしこれがコネ作りのすごく良いトレーニングになっていると思っている。
・最初から「俺は自信満々だよ」って言う場合は、
それがプロレスの戦いだったら相手が弱すぎると言うことで、それでは成長がない。
自分より強いやつにぶつかっていけば、当然そこに不安も出てくるし、
その不安を取り除くために一生懸命練習するとか、スタミナをつけるとか、
試合運びの工夫をするとか……。
といった具合に、しっかりした基本あっての型破り、ということが感じられます。
読みどころが豊富であり、何より、元気をもらえます。
元気があれば何でもできる!
経営者、リーダーにとって、大事なことがぎっしり詰まったこの一冊、
ぜひとも読んでみてください。
尚、本書を読む際に、おすすめの音楽は、
『アーノンクール・エターナル・コレクション~バッハ・ベスト』
(指揮:ニコラウス・アーノンクール、演奏:ウィーン・コンツェントウス・ムジクス)
です。
アーノンクール・エターナル・コレクション~バッハ・ベスト/amazonへ
古楽器を用いたバロック音楽で世界的に名高い巨匠アーノンクール。
まさに猪木氏のプロレス全盛期と同時代に活躍し、
20世紀後半の演奏史に革命を起こしました。
誰も行かない道を行った猪木氏と重なる部分が多々あり、
このアルバムからその真髄を味わうことができます。
本書と合せてお楽しみいただければ幸いです。
では、また次回。