menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

経済・株式・資産

第34話 経営者にとっての「真摯さ」とは?

あなたの会社と資産を守る一手

二十代、三十代の経営者と話をしていて、「事業の成功法則」について意見を求められることがある。
もちろん、それについて熟知してるわけでもなく、専門でもないのに言い切ると、「事業の成功法則」といったものなどないのだ。
 
それでも、「あえて」という言葉を付け足して言うなら、「真摯さ」が必要だと思う。これはまさにドラッカーの言うとおりなのだが、「真摯」であるから成功するわけでもないと考えると、やはり「事業の成功法則」などといった定型は存在しないことになる。
 
事実、企業再生を専門にしている立場から、多くの企業をみてきたが、成功にいたる法則より、失敗にいたる法則のほうが高確率で導きやすい。
 
たとえば、どんな事業も「真摯 」にやらなければ簡単に失敗に導かれる。
クレイムの処理にしても簡単に受け流していたのでは、顧客の要望といった情報が蓄積せず、その会社の商品やサービスは顧客の気持ちから離れていく。その結果として業績不振→倒産ということにもなりえる。
 
社内の業績や事務管理を一管理者に丸投げしたり、経営者が見落としたりすると、いつのまにか社内の体制が崩れ始め事業の失敗に導かれる。
 
それでも潤沢な資金があってなんとかなるというのならいいのだが、多くの中小企業は今では負債比率が高く、潤沢な資金などないのがふつうになっている。
 
会計・財務を理解しなければならない。決算書が読めなければいけないとよく言われるが、経営者がそれを理解しているレベルくらいでは、不正経理を見抜けるレベルにはならないし、業績の改善や財務内容の真の良化にいたるのは難しい。
 
私が古くからよく知っている会社の社長は、社内に経理部長をおかず、自ら会計ソフトに資金の動きを入力している。もちろん経理が専門であるわけでなく、学校で勉強したわけでもなく、経理の講習に行くわけでもないのだが、もはやその姿は経理部長であり、経理ソフトの仕訳を打ち込んでいる姿はまさに「真摯」と言える。
 
その会社の財務データを見てその能力の高さには驚かされる。
信用保証協会の融資実行分の保証料もちゃんと次期決算計上分は前払い費用、それ以上の分は長期前払い費用に計上しているところなど並みの社長ではできないことだ。
 
そして、その社長の話はとても興味深い。
 
「仕訳できないと思った取引はしない」
 
「仕訳していると、資金繰りとか、財務内容の変化が自然と頭にはいってくる」
 
「経理を理解し、経理に時間をかけても儲けにつながるわけではないが、会社の財務内容がどんなふうに変化していき、その結果、今、当社に求められているものは何かはわかってくる」
 
「人にはキャパシティがある。自分は優秀でないので、キャパシティを超えた取引はしない」
 
これらの言葉通りのことがその会社では実行されている。
 
今回、その会社の決算書を見てあらためて、社長が自ら経理をおこなうことの重要さがわかった。今までに貸し倒れになった金額が総額で3万円程度なのだ。
 
数字は正直だ。この社長の真摯さが、この会社を「失敗」ということから遠ざけていると思わざるをえなかった。

 

第33話 会社経営と、経営者の個人資産(不動産)前のページ

第35話 うまくいく会社、だめな会社次のページ

関連セミナー・商品

  1. 社長と会社の資産を守る法CD

    音声・映像

    社長と会社の資産を守る法CD

関連記事

  1. 第53話 消費税滞納から見える破たんする会社

  2. 第141話 会社で社会保険料の納付が遅れると…

  3. 第56話 手元キャッシュを最大化する経営(2)

最新の経営コラム

  1. #7 一流の〈講演会で覚えてもらう力〉-最前列の価値-

  2. 第81回『継続経営の真髄』~お客様に長く愛される経営とは?~

  3. 第54回 幾代も続く会社をつくる「一族のルール」

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. マネジメント

    朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳(2024年4月17日号) 
  2. ブランド

    【ビジネスドレス考】 スタンダードなスーツとは? -「黒」という色-
  3. 経済・株式・資産

    第55話 手元キャッシュを最大化する経営(1)
  4. 経済・株式・資産

    第42話 次の債務危機は本当に中国なのか?
  5. 人事・労務

    第59話 3月12日の集中回答で給与改定の潮目が見えてきました
keyboard_arrow_up