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教養

第158回『面白すぎて誰かに話したくなる 蔦屋重三郎』(著:伊藤賀一)

眼と耳で楽しむ読書術

今、書店で最も目立っているのは、蔦屋重三郎関連の本です。

放映中のNHK大河ドラマ「べらぼう」の主人公であり、
“江戸のメディア王”として、日本文化の発展に多大な功績を残しています。

起業家であり、敏腕プロデューサーでもあった蔦屋重三郎を知ること、
とりわけ、彼の事業手法や考え方を知ることは、経営者やリーダーにとって非常に有益と言えます。

数多く出ている蔦屋重三郎本の中で、特におすすめしたいのが、今回紹介する

『面白すぎて誰かに話したくなる 蔦屋重三郎』(著:伊藤賀一)

です。

著者の伊藤氏は、リクルート運営のオンライン予備校「スタディサプリ」で
7科目を担当する「日本一生徒数の多い社会講師」として人気。

教えるプロである伊藤氏の本だけに、断然わかりやすい。

●蔦屋重三郎とは何者か?
●どんな功績を残したのか?
●どこが凄いのか?

といったことから、当時の時代背景や手掛けた書籍、
プロデュースした浮世絵師たち、喜多川歌麿や東洲斎写楽などについても言及。

度重なる逆境や困難の中で、なぜ次々とミリオンセラーを生み出せたのか、
その秘密に迫っていきます。

事業家としての蔦屋重三郎について、次のように伊藤氏は語っています。

 「趣味の世界だった大衆文学や浮世絵を、出版・広告によって世に広げ、
  サブカルチャーの事業化、すなわちカルチャービジネス〔文化事業〕へと昇華させ、
  流通によって誰もがコンビニエンス〔便利〕に手に取れるようにした。
  ものすごい事業家だった」

さらに、現代ビジネスに例えながら、

 「江戸の貨幣経済の中で、版元(=製造)、卸売・小売 (=流通)、
  貸本(=レンタル・リース)に広告代理店的な立ち位置を加え、
  真っ当な事業としたのが初代蔦重だったのです。
   蔦重は、《ゼロイチ (〇から一)》にするより、
  すでにあった仕組みをうまくアレンジすることで
  《イチヒャク(一から百)》にすることが得意な事業家でしたが、
  狂歌絵本や写楽の役者絵など、奇抜な視点で
  江戸を代表するトリックスター〔手品師〕となり、
  圧倒的な熱量でゲームチェンジャー〔革命的人物〕になった」

と評しています。

当時では珍しい画期的な人物だったのが、おわかりいただけるのではないでしょうか。

個人的には、「蔦屋重三郎の成功の秘訣は“チーム力”」との記述が特に印象に残りました。
そのチーム力とは何か、にも注目しつつ、ぜひ読んでみてください。

尚、本書を読む際に、おすすめの音楽は、

『Classics』(演奏:スコット・ハミルトン)です。

チャイコフスキーの交響曲第5番などのクラシック音楽の名曲を、
巨匠スコット・ハミルトン率いるジャズ・クァルテットで楽しめる名盤。

本書と合わせてお楽しみいただければ幸いです。

では、また次回。

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