menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家の
”声”と”文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ
  • 小
  • 中
  • 大

経済・株式・資産

第37回 何をやるかではなく、どうやるかが肝心:「ライドオン・エクスプレス」

深読み企業分析

ライドオン・エクスプレスは、すしの宅配を行う「銀のさら」を運営する企業である。同社は銀のさらの収益化に成功し、その後同じ店舗において釜飯の「釜寅」、そして直近では銀のさらより低価格帯で、価格面で回転ずしに対抗できるすしの宅配の「すし上等」をほぼ軌道に乗せている。
 
食事の宅配ビジネスは、いわゆる出前に対抗する市場であるが、同社以外には収益化を成し遂げている企業はないと思われる。店舗で外食店をやりながら、出前も行う企業は無数にあるが、それらは店舗営業に付随した業務として成り立っていることが多い。もしくは極めて小規模な個人事業として成り立っているケースはあろう。
 
純粋に宅配のみを行っている業態として最大の市場はピザ市場であるが、収益性は決して高くないと思われる。業界2位のピザハットは上場企業のケンタッキーフライドチキンの子会社であり、収益動向が開示されているが、継続的に赤字となっている。
 
注文に応じて短時間で家庭に届ける食事の宅配ビジネスは配達員のアイドルタイムのコントロールが難しく、なかなか収益化が成し遂げられないものである。今、世界ではネットでレストランのメニューを注文すると、家庭まで届けてくれるビジネスが大きなビジネスとして成長しようとしている。しかし、日本では必要なときだけ仕事を割り振るという、海外のような雇用形態は認められていないため、なかなかビジネスとして成り立たない。
 
 
fukayomi37no1.png
 
 
そんな中、同社はこの食事の宅配ビジネスの仕組みを活用して、レストランの出前ビジネスを本格的に行う意向である。外食業界における有名店、繁盛店と契約して、消費者からの注文をおよそ2時間以内に家に届けるというものである。すでに都内での実験でビジネスモデルは確立しつつあり、より広範囲に実験地域を増やす段取りとなっている。まさに、この成長市場を独り占めするかもしれない勢いがある。
 
有賀の眼
 
同社の成功の秘訣は、徹底的な細部へのこだわりにある。まず、寿司の宅配ビジネスに参入するにあたって、既存企業のビジネスを徹底的に研究した。その結果、味の問題とチラシの問題が大きいことを見出す。味に関しては、ネタの管理と酢飯の量が最も重要であるが、酢飯の量に関してはすしロボットで解決した。
 
ネタの管理で最大の問題は、冷凍のすしネタを解凍する時にドリップが出てしまうと、味が極端に落ちることである。そこで、同社では徹底的に解凍法を研究したところ、高電場解凍機の「リ・ジョイス」に行きつく。当時は機器も高かったのであるが、すし業界に関しては独占契約を結んで、その高価な装置を導入した。
 
ネタと並んで徹底してこだわっているのが、チラシである。現在、同社のチラシは他社とははっきりと一線を画している。同じ宅配だけではなく、他の出前のチラシに対して同社のチラシは豪華である。紙は厚手で、上級紙で、三つ折りで、色の濃い目のカラー写真を用いている。それに対して、他社は1枚ぺらや、一色刷りなどである。同社では特に写真をふんだんに使って、しずる感をあおるものとなっており、圧倒的に配布枚数に対する注文数に差がついているのではないかと思われる。
 
同社を始め、多くの成功企業を調べていて、成功の秘訣として一番感じることは、何をやるかではなく、どうやるかということである。改めて、自らのビジネスを顧みて、本当にそこまで知恵を絞っているか考えてみる必要があるのではないでしょうか。
 
 
 

第36回 おせっかいなくらいでちょうどいい時代:「日特エンジニアリング」前のページ

第38回 店内競合で、商店街の活気:「アルビス」次のページ

JMCAおすすめ商品・サービスopen_in_new

関連セミナー・商品

  1. 社長のための「お金の授業」定期受講お申込みページ

    セミナー

    社長のための「お金の授業」定期受講お申込みページ

  2. 有賀泰夫「お金の授業 日本の外食企業 成長戦略と株式研究」

    音声・映像

    有賀泰夫「お金の授業 日本の外食企業 成長戦略と株式研究」

  3. 《最新刊》有賀泰夫「2026年秋からの株式市場の行方と有望企業」

    音声・映像

    《最新刊》有賀泰夫「2026年秋からの株式市場の行方と有望企業」

関連記事

  1. 第141回 Z世代へのリーチを強みとして、大躍進する出版社(スターツ出版)

  2. 第72回「ネット化による価値観の変化を巧みに捉えて高成長するリアルビジネスを構築」寿スピリッツ

  3. 第75回「業態磨き込みで、儲けにくいビジネスを儲かるビジネスに」物語コーポレーション

最新の経営コラム

  1. 第78回 「受注体質」と「見込み体質」

  2. 第182回「適度な音量で楽しむ“ライブ用”の耳栓」

  3. 第202回「社内講師制度の作り方」

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. 人間学・古典

    第20回 「絶滅危惧種の『文化』たち」
  2. 経済・株式・資産

    第18回 成長するフィンテック企業の戦略 ~ 後払い決済サービス Paidy ~
  3. マネジメント

    第36回 社員の幸せを考えるブレない経営とは?~事例:SASインスティチュート~
  4. 経済・株式・資産

    第137回「小売りDXで飛躍の時を迎える」サイバーリンクス
  5. 社員教育・営業

    第27講 お申し出者のお宅への訪問対応~その5~
keyboard_arrow_up