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社長業

第19回 リーダーは、「安全圏」の外へ出ろ

繁栄への着眼点 牟田太陽

「虎穴に入らずんば虎子を得ず」とは誰もが知っている言葉だ。
 結局のところ、何を求めるのか。「ローリスク、ハイリターン」などと、今の時代そんなに都合のいい話はない。

 「安全圏」という言葉にはいろんな意味がある。
 故一倉 定先生は、現場に出ることなしに社長室に閉じこもっている社長を「アナグマ社長」と言った。私が師事している滋賀ダイハツ販売の社主である後藤昌幸先生は、社長室の壁のことを情報遮断板と言った。
 そういうことを聞いてきた私は、理事長に就任してから「理事長室」というのを持たなかった。会長からは、「(旧)理事長室をそのまま使え」と言われたが、「会長室として使ってください」とお断りをした。いま私は、社員たちと一緒に長テーブルに座り仕事をしている。右手に専務の作間、左手に事務局長の成田、向かいには課長の木村が座っている。直接社員の声が聞こえるのでいい。

 先日、PCに向かって講演の原稿を作成している時だ。ふと集中力が途切れた時に、作間と木村の会話が耳に入ってきた。「いま、お客様に『増客しろ』なんて言っても意味ないよな。だって訪問しても会ってもらえないし」と作間が言い、木村がそれに同調をしていた。以前、全国経営者セミナーで話した社長の言葉が頭を過った。「社長は真剣勝負だが、専務以下は竹刀で勝負をしている」というものだ。その通りだと思った。
 「何を言っているんだ。『お客様に会えないから増客が出来なくても仕方ない』そんなバカなことがあるか。社長だったら『違う方法を考えろ』と絶対に言うよ」と私は我慢しきれず口をはさんだ。黙っていても給料が降ってくると思ったら大間違いだ。

 しかし、この時に自分だけ「安全圏」に留まって指示をしている社長ならば、はたして社員たちは言うことを聞くだろうか。まず聞きはしないだろう。
 リーダー(社長)とは、リードする(引っ張る)人のことである。自ら率先して動かなければ、社員たちは動くはずもない。

 情報というものは、待っていても来ることはない。
 来たとしても、その時には賞味期限が切れているものだ。後継社長塾の塾頭である井上和弘先生に昔言われたことがある。「『春が来た』という歌を知っているか。山に来た、里に来た、野にも来たというが、順番がおかしいと思わないか。普通、暖かい野から山に向かうはずだ」「太陽さん、これは春の事ではなく『情報』のことだ。情報というのは山を越えてやってくる。しかし、待っていてはダメだ。自分で取りに行け」と言うのだ。

 巷ではオンライン一色となっているが、私はこれに疑問を感じる。
 学生が最近使っている「よっ友」という言葉をご存じだろうか。親友でもなく、友人でもなく、廊下ですれ違ったときに「よう!」と挨拶する程度の、知り合いのことだ。それが高校や大学では授業がオンライン化されたことによって、「よっ友」が出来なくなったという。
 私も経験あるが、社会に出て、親友や友人がどこの会社に勤めて、どこに勤務しているか大体把握しているが、実はこの潜在的な「よっ友」こそ、仕事上で意外なところで繋がっていたりする。人と人を繋げてくれたりもする。人の縁とはつくづく不思議なものだ。それがいま出来ない状況にあることに、気づいている人がどれほどいるのか。この状況こそ危機ではないか。

 「オンラインで出来てしまうから」と「安全圏」という殻に閉じこもっていては、自分の人脈を、世界を狭めていることにどうか気づいてほしい。

※本コラムは2020年10月の繁栄への着眼点を掲載したものです。

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