今回は前回と同じフェーズ8の「 モノづくり 」です。その第4項目の『 ハード面の重視 』25項目中の最初の第1項目である『 「 天井高 」より「 階高 」を重視 』に関してのお話を致します。
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- 第67回 「 天井高 」より「 階高 」を重視
前回はフェーズ8「 モノづくり 」の『 ソフト面やハード面 』13項目中の第13項目である『 14階建と15階建とは高さが同じで、内容は大違い。 』に関してのお話を致しました。
「 モノづくり 」に於いて、住まいの『 ハード面の重視 』の大切さを認識して戴く目的でこのコラムでは25項目用意致しました。今回はその第1項目で分譲マンションのハード面の良し悪しが売主の会社の姿勢が問われ評価される「 階高 」に関してとても重要性である事を認識して戴く為に『 「 天井高 」より「 階高 」を重視 』という内容を、皆様に詳しく御説明致します。
さて、今回も建築家としての私が最も得意とする「 モノづくり 」における重要な「 こだわり 」であります。
今回も、分譲マンションの「 モノづくり 」に対する「 こだわり 」に於いて売主が入居者( 購入者 )サイドに立った商品を製造・販売しているか否かが購入者にとって価値判断基準になりますので、私の今迄の経験を通して御説明を致します。
毎回、毎回このコラムで、申し上げていますが、この処の準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの傾向は、良い商品を作って分譲している良心的なディベロッパーと、販売力の強さと数字のみに頼って分譲マンション等を企画し販売していますディベロッパーとの「 2極分化 」がかなり進んでいます。
販売力の強さと数字のみに頼って販売しているディベロッパーに於いては現在かなり苦戦を強いられ売れ残り住戸が多いのが現状なのです。その様なディベロッパーは淘汰されかねませんので、早く体質改善をして良い商品づくりのマンション分譲をする方向に進んで欲しいと願っております。
更に、不動産業界は「 超大手、大手ディベの寡占化 」がどんどん進んでいます。これらの会社と対等に勝負するには是非、分譲予定物件の「 モノづくり 」にはトコトン「 こだわり 」や「 誠意 」を持って商品を作る事がとても大事です。その様にされていれば顧客は購入意欲を起こし、入居後も問題が起きない良い商品を作る事ができるのです。
誠意が感じられ入居後も問題が起きない良い商品を作り続ける事に依って潜在顧客の信頼を勝ち取り、不動産業界に於いて良い評判を立て、更に会社の信用度が高まれば「 ブランディング形成 」( ブランドを高める事 )になり「 超大手、大手ディベの寡占化 」に対等の立場に立てる会社になりえると確信しています。
そして、それを永遠に継続し、魅力的な良い商品作りをされていれば、一般消費者の社会でも会社名や「 ブランド 」名と知名度も上がり販売におおいに寄与致します。
ですので、その様にされる事を継続する事に依って不動産業界の中で超大手や大手ディベロッパーと同様又はそれ以上に世間は評価致します。それでこそ、準大手や中堅ディベロッパーが生き残れる道だと私は思います
「 継続は力なり 」です。
その様になる為にも、今回のタイトルの「 モノづくり 」第4項目の『 ハード面の重視 』25項目中の最初の第1項目である『 「 天井高 」より「 階高 」を重視 』の内容は分譲マンションの商品企画・基本計画段階でのイロハですのでとても重要な事なのです。特に今回の内容は売主の評価につながる事ですのでとても大切な事柄なのです。
手前味噌になりますが、今回も私が今迄約30年以上手がけました新規分譲戸建や新規分譲マンション等の設計業務の経験に基づいた大変貴重なお話です。
準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの方々はこれから進める、分譲マンション等の商品企画・基本計画時点に於いて是非今回のコラム内容を良く理解して取り入れて下さい。最近、新規分譲マンションの内容の中でも特に購入者( 入居者 )がかなりこだわりを持っている項目です。
そして、これも毎回申し上げていますが、分譲マンションの計画時点で一言申し上げておきます。私が今までの業務経験を踏まえて申し上げたい事は、準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーは、絶対に『 製販一体 』体制で行う事です。
分譲戸建や分譲マンション等の商品企画業務を製造部隊と販売部隊と一緒に遂行して戴きたいと思います。その理由は販売部隊が顧客の生の声を商品企画会議で発言し製造部隊に伝え、その内容が良ければどんどん商品企画や商品内容等に反映できるからなのです。
更に、今回の『 「 天井高 」より「 階高 」を重視 』の具体的な内容が販売部隊の方々も良く理解でき顧客に対して自信を持って説明できるからなのです。
前置きがいつも長く申し訳ございません。さて、本題である『 「 天井高 」より「 階高 」を重視 』をこれから具体的に御説明致します。
まず「 天井高 」と「 階高 」の違いを御存じ無い方々に御説明致します。
「 天井高 」とは床面より天井面までの高さの事で設計図書や販売図面集の中にCH( Ceiling Height )で表記しています。例えばCH:2400と書いてあれば天井高さは2.4メートル( 2400ミリ )なのです。
ちなみに、マンションの場合に住戸内の大梁下面、小梁下面や梁型( ダクトを囲ったもの )下面の床からの高さも「 天井高 」と呼んでいます。
この大梁下面、小梁下面や梁型下面の床からの高さは最低限2.1メートル以上必要ですし、そのくらいの高さが確保できないと空間が貧弱に見えます。
そして、これらの高さを左右するのが「 階高 」です。
「 階高 」とは1階層の高さの事です。マンションの住戸を例に分かり易く御説明致しますと、住戸の床面から直上階住戸の床面までの高さを「 階高 」と称します。
では何故「 階高 」が重要なのかを御説明致します。
柱と大梁で建物を構築しています構造をラーメン構造と言いますが、マンションの場合特に大梁の高さ寸法が「 階高 」に影響を与えます。
通常、大梁の高さ寸法はスパン( 柱と柱の間の寸法 )の約1/6~1/8位の寸法なのです。建物の高さに依っても違ってきますがだいたいこの位の寸法です。
マンション住戸で通常のラーメン構造の場合、大梁下にリビング・ダイニング( LD )からバルコニーへ出入りするサッシュが設置されています。
LDの空間の質、採光や眺望の良さにおおいに影響を与えるのが、LDのサッシュ高さです。近年分譲されています良いマンションに於いては、このサッシュの高さは2メートル以上有ります。
そう致しますと「 階高 」は大梁高さ寸法プラス二重床高さ寸法プラス2メートル( サッシュ高 )になり最低でも3メートル以上は必要になってきます。
LDのサッシュ高さが2メートル未満ではもはやそのマンションの売れ行きの悪さは目に見えています。
例えLDの「 天井高 」を2.5メートル確保していましても、バルコニーへの出入りのサッシュ高さが1.8メートルではLDの空間が貧弱に見えるのです。
また、例えLDの「 天井高 」が2.45メートルであっても、バルコニーへの出入りのサッシュ高さが2.1メートルあればLDの空間が広く良い感じになるのです。
この様に「 階高 」は空間の質を大きく左右する寸法なのです。
ですので分譲マンションの商品企画時点に「 階高 」の寸法を構造設計者と一緒に充分に検討して戴きたいと思います。
『 「 天井高 」より「 階高 」を重視 』は、これから新規分譲マンションを計画していますディベロッパーにとって商品企画のイロハですので上記の御説明を役立てて下されば幸いです。
何度も申し上げています様に、不動産事業で一番大切なのは売主の信用と顧客に対する配慮です。準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーにとって「 超大手、大手ディベの寡占化 」に対抗し勝つ為には顧客へ魅力や気遣い及び将来問題が生じないマンションを作り続ける事なのです。
但し、毎回注意していますが、商品内容の質やクレーム等で信用を落とすのは一瞬です。再度信用を築くには最低10年はかかります。この事を肝に銘じて下さい。
次回はフェーズ8の「 モノづくり 」第4項目の『 ハード面の重視 』25項目中の第2項目である『 外壁は全て鉄筋コンクリートでダブル配筋が良い 』に関してのお話を致します。
次回も期待して戴ければ幸いと存じます。 以上