2014年第4四半期のGDP成長率は7.3%にとどまり、通年実績も政府目標7.5%を下回るものの7.4%だった。7.4%成長は天安門事件翌年(1990年)以来24年ぶりの低水準となり、政府目標割れはアジア通貨危機以降16年ぶりの出来事である。
低迷が続く景気を刺激するため、中国政府は今年、商業銀行が中央銀行に預かる預金準備率の引き下げを2~3回実施するだろう。中央銀行による金利引き下げも2~3回実施される可能性が高い。
2015年は第12次5ヵ年計画(2011~15年)の最後の年となる。この計画によれば、2015年に鉄道分野の投資規模は2.8兆元にのぼる。国家発展改革委員会「重点分野における投融資に関する指導意見」(2014年)の中では、2014年、15年に着工する予定のプロジェクトは、中西部鉄道建設案件45件、自動車道路71件、河川整備43件、空港整備19件、都市間鉄道25件などインフラ関連の投資案件は合計で203件にのぼる。ほかの分野の投資を加えると、2015年の投資規模は7兆元にのぼり、リーマンショック後の4兆元規模の景気対策を上回る。ただし、今回は民間投資が主役で、金融危機時の財政出動とは性格が違う。
2014年上海株価総合指数は約53%上昇し、世界主要国ではトップクラスの上昇率を記録した。2015年、金融緩和の実施によって、資金は株式市場に流れやすく、株価の上昇傾向が続くだろう。上海株価総合指数は一時的に4000ポイントを突破する場面があると思う。インフラ関連、国有企業改革関連、医薬、環境保全などの分野は注目される。一方、急騰、暴落など株価の乱高下リスクは要注意である。
金融緩和の実施によって、資金の一部は不動産分野にも流れ込む。昨年5月から下落が続く住宅価格は一時的に下げ止まる可能性が出てくる。ただし、住宅の過剰供給という状態に変わりがないため、住宅バブル破裂のリスクは依然として根強く、年間ベースの住宅価格は引き続き下落する。
アメリカの量的金融緩和の終焉によって、新興国からアメリカへの資金還流が続く。そのため、2015年もドル高と新興国通貨安が同時に進行する。人民元切り上げの圧力は相対的に緩和され、元安方向へ転換する。人民元の為替相場は年間ベースで3~5%程度切り下げることが予想される。
オバマ政権は米国のアジア戦略の軸足を中国けん制から米中協力にシフトしているため、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に中国を参加させる方針を打ち出す可能性が高い。
上海自由貿易区の設立(2013年9月)に続き、2015年に広東省、天津市、福建省など3つの自由貿易実験区が発足する見通しである。
2014年12月、ニュージーランド政府が中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加すると正式に表明した。これによって、AIIB加盟国は24カ国にのぼる。これまでAIIBの加盟国は新興国と途上国ばかりだったが、ニュージーランドの加盟によって、先進国も参加する初のケースとなった。
2014年中国の対内直接投資は1195.6億ドルで前年に比べ1.7%増だったが、日米欧先進国からの直接投資は軒並に急減している。そのうち、日本からは38.8%減を記録し、米国からも20.6%減、EUからは5.3%減となっている。先進国からの投資急減は、中国の製造業が生産過剰に陥ったに加え、人件費など生産コストも急上昇し、中国現地生産の魅力が大きく減退しているからである。