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社長業

第18回「社長を叱ってくれる人がいないことは悲劇である」

繁栄への着眼点 牟田太陽

 「会社の成長は社長の器に比例する。
    創業者というのは会社の成長とともに一通りの苦労を体験する。創業者は、誰もが「必ずこの商品は売れる」と信じて創業をする。失敗するなどと思い創業する者などいない。
野望を持って創業するが、最初は単純な理由だ。
最初の旗(目標)は単純なほど近くに立てる。お金のため、食べるため、家族を養うため。そんなものだ。1本目の旗は意外と早く到達する。そうすると2本目の旗はちょっと遠くに立てる。売り上げを何億にする、経常利益を1億にする、大都市に打って出る。そこに到達したならば3本目の旗は遠くに遠くに立てる。その分野で日本一になる、海外に拠点を作るなど創業者の野望は尽きることない。
 
 しかしながら、人間の寿命は長いようで短い。決められた時間の中で、多くの人間がそのあたりで代替わりを意識するようになる。全て自分でやってきたことを一つひとつ次世代に任せるようになる。その心境を考えると寂しいに違いない。創業者にとって会社というのは自分の人生そのものだからだ。
 
 最初の商品が売れたとき、ようやく売れたと思ったら、「なんだこの商品は」とクレームがくる。そこから、「もっと商品をよくするのはどうしたらいいのか」「もっとお客様の役に立つにはどうしたらいいのか」などと初めて考えるようになり理念やら哲学が身についてくる。そうすると自分の器の成長とともに会社も大きく成長していくものだ。
 
 ここまで苦労をして会社を大きくしたのにもかかわらず、ここで危機に陥る会社がある。現場を離れしばらくすると、謙虚さをなくしてしまう社長がいるのだ。そのことに気付けるか気付けないかでその後の人生は大きく分かれる。これは何も創業者だけではない。現場を経験することなく苦労もさせてもらっていない、失敗も経験させてもらっていない後継者にも見受けられる。
 私も年間数えきれないくらい出張をするが、レストランで、ホテルで、空港でスタッフに対して怒鳴ったりしている経営者と思しき人を見かけることがある。怒る理由があるから怒っているのだろうが、一分、二分言うべきことを言えばそれで十分ではないか。それを延々とやっている。「あなたの社員ではないでしょう」と言いたくなる。他所の社員に対してそうであれば、社内ではどれだけ暴君なのかと思ってしまう。
 
 社員は社長を映す鏡だ。
 社長が間違った行動をとれば、社員もまた上を見て間違った行動をとりはじめる。それは上ではなく自分より立場の低い人間に向かう。そのような会社が、いい会社になるわけがない。断言できる。
 故一倉定先生の勉強会からお越しいただいてる社長から聞いたことがある。「ここは学ぶ場所と同時に気付く場所なんだ」と。何年も一倉先生の勉強に参加をした。意を決して休み時間に先生への質問の列に並んだ。勇気を出して訊いた質問に対して、「君は何年間、何を勉強していたんだ。くだらない質問をするな」と怒鳴られたという。こちらとしては申し訳ない気持ちになったが、その方はこう言った。「いやぁ、あの時は頭にきてそのまま会場を出て二度と来ないつもりだった」そうしたら受付の前で(当時)牟田 學専務に呼び止められた。
 「あの人は本物だから。私に免じてもう一度受けてみてほしい」と言われたという。「わかっているのと、ちゃんと実行しているのは違う。そこがあったから会社の現在があるんだ」とおっしゃっていただいた。有難いと思う。
 
 「叱られに来る人」もいるし、「叱られたのを認めない人」もいる。どちらの人生が得か考えてほしい。叱られるというのは自己成長の機会ではないか。それを認めないということは自分の成長の機会を自分で潰しているのだ。
 誰でも歳をとっていけば自分を叱ってくれる人は少なくなってくるものだ。叱ってくれる人がいるということは財産ではないか。
 
※本コラムは2020年9月の繁栄への着眼点を掲載したものです。
 

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