実学の門で全国の社長たちと直にお話が出来るということは幸せだ。逆に私も多くの勇気をいただく。
先日、実学の門の九州会場にいつも参加されている飲食店の社長から、「本店店舗を移転しました。広くて綺麗になったので是非お時間ありましたらお越しください」と言われた。
せっかくなので、会場で一緒に行ける方を募集してタクシーでお店に向かった。そのタクシーの中で同乗した別の会社の社長から嬉しい話を聞いた。
その会社は1月の頭に事業発展計画発表会を開催した。取引企業がどんどん廃業していく中で、機械と社員を引き受け自社内で一貫して生産できる体制の確立、新型機械の導入による新商品の開発、イベントの実践など発表会は夢が溢れていた。
しかし、新型コロナウィルスの影響で計画の一部変更を余儀なくされた。とても悔しがっていた。私もわかる。
「太陽さん、この資金が必要な時期に設備投資をすることに躊躇をしていました。しかし、太陽さんの話を今日聴いて決心をしました」私は「え?」と思わず社長の顔を見たが、社長の顔は自信に満ちていた。「いまやらなければ、コロナに耐えられても未来がないです。コロナの先を見据えて、いまから動く決心をしました。社員は反対する者もいるかもしれませんが、説明をして絶対にやってみます」この言葉に私は震えた。
新型コロナウィルスによって多くの会社が「課題」として持っていたものが「急務」となった。新しい売り方をしなければならなかったり、新しい商品を開発しなければならなかったり、新しい事業を加えなければならなかったりした。私も新事業の相談をいくつも受けた。
新事業をやるにあたり、何が重要かと訊かれれば、「社長の情熱(パッション)です」と答える。社員に「新事業をやれ」と言っても出来るわけがない。社員数が数百人もいる会社ならまだしも、人も、モノも、カネも無いのが中小企業だ。社長が、徹頭徹尾関わらなくてはいけない。でなくては成功することはない。
9月に全国経営者セミナーを無事に終了させることが出来た。
そこに至るには様々な葛藤があった。中止・延期などということは考えもしなかった。「どうすれば開催出来るのか」ただひたすらそれを考えてきた。開催前夜など、「皆さんにお会い出来る」と遠足前の子供のように眠れなかった。そうして迎えた当日、驚くことに「開催してくれて有難うございます」と多くの方から逆に御礼を言われた。涙が出た。
逆に、このような方もいた。開催1週間前に会社に電話をされ「本当にやるのか、何を考えているのか」と社員を捕まえその方は言ったという。どの会社かは知らないし、知ろうとも思わない。これには私も頭に来た。「コロナ禍において一番怖いことは社長が積極心をなくすこと」と私は常に言っている。その他人の積極心(せきぎょくしん)の炎をわざわざ消そうとする人がいることが許せなかった。目の前にいたら手が出ていたかもしれない。それほど頭に来た。
全国経営者セミナー3日目の早朝講和でお坊さんのYoutuberである大愚和尚にお話をいただいた。お坊さんがYoutubeをやる。これに対して当初反発が凄かったと和尚は言った。いろんな批判の電話もあったという。その批判は誰からなのか。同じ和尚からであった。
かく言う日本経営合理化協会もYoutubeをやっている。これも葛藤があった。CDやDVDを販売している我々が無料動画を配信する矛盾。社内では反対の声も当然あった。しかし、私には新しいことにチャレンジしないことの方が恐怖だった。
皆さんにもあるはずだ。迷っていること。悩んでいること。何事も事を始めるには勇気がいる。やり続けるには信念がいる。最後に成功するかどうかは、そんなものはやってみないと分からない。全ては自分次第だ。
※本コラムは2020年11月の繁栄への着眼点を掲載したものです。