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第18回 秋川渓谷温泉(東京都) 全国的にも珍しい「強アルカリ性」の名湯

高橋一喜の『これぞ!"本物の温泉"』

 ■都心から好アクセス! 自然豊かな温泉
 前回、強酸性の温泉を紹介した。温泉の個性を決める「pH値(水素イオン濃度)」は、pH7の中性より値が高いとアルカリ性、低いと酸性の傾向が強くなる。
 
 強酸性の湯はピリピリと肌を刺激するような入浴感が特徴だが、アルカリ性の温泉は、なめらかで肌になじむ入浴感が特徴。汚れや古い角質を落として肌をスベスベにする美肌効果がある。
 
 アルカリ性の温泉は全国各地にあるが、なかでも「超」がつくほどのアルカリ性を誇る名湯が東京都内に存在する。東京西部、あきる野市に湯けむりを上げる秋川渓谷温泉「瀬音の湯」である。
 
 都心からは高速道路を使えば1時間ほど。電車であればJR五日市線の終着駅である武蔵五日市駅まで1時間強、そこからバスに揺られて20分弱ほどで到着する。都心からアクセスしやすいロケーションだ。
 
 秋川沿いに2007年に誕生した瀬音の湯は、モダンで洗練された建物。美術館を連想させる。だが、奥多摩の緑と川に囲まれたロケーションは静寂に包まれていて、ここが東京であることを忘れさせてくれる。
 
 日帰り入浴がメインだが、宿泊コテージが10棟あるほか、「朝摘み野菜」が人気の物産販売所、蕎麦や丼ものから会席料理まで提供する和食レストランなど施設が充実している。そのため、奥多摩観光を目的とした客を中心に人気を集めている。
 
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 ■東京では貴重な「源泉かけ流し」
 男女別大浴場の内湯は、20人以上が入れる大きなサイズ。わずかに白く濁った湯が湯船からあふれ出ていく。約27℃の源泉は加温されているものの、正真正銘の100%源泉かけ流しだ(ただし、露天風呂は循環ろ過式)。都内で「かけ流し」の湯は貴重である。
 
 いまや東京のような都会でも温泉が湧くケースは珍しくない。都心で働く人にとっては、気軽に温泉を楽しめるオアシスとしての役割を果たしていると思う。
 
 だが、温泉の質については、残念としか言いようがない。もともと温泉が湧いていない都心部では、地中深くから温泉を無理やり汲み上げるしかない。だから、温泉の湧出量には限界がある。しかも、一日に多数の人が利用するので、湯を循環ろ過して使い回さなければならないし、塩素殺菌も不可欠だ。こうなると当然、温泉がもつ本来の個性は失われ、効能も期待できない。
 
 その点、「瀬音の湯」の湯使いは、東京で1、2を争うといってもよいだろう。泉質は、アルカリ性単純硫黄泉。タマゴのような硫黄臭が浴室内にプーンと漂い、舌で舐めるとわずかに甘い味がする。とくに内湯は温泉の個性を最大限に引き出しており、好感がもてる。
 
 露天風呂は、10人ほどが浸かれる岩風呂。循環ろ過され、湯の個性は失われているので、泉質的には内湯に比べると物足りないが、湯船からは秋川渓谷の絶景が望める。殺菌のため塩素を投入しているが、特有の臭いもそれほど気にならない。
 
 ■pH10の超アルカリ性は希少
 「瀬音の湯」の最大の特徴は、トロトロ、スベスベとした肌触り。肌にまとわりつくようなしっとりとした湯で、まるで化粧水の中に浸かっているような気分になる。瀬音の湯もまた、他のアルカリ性の湯と同様に、「美人の湯」「美肌の湯」と言っていいだろう。
 
 「旅して日本プロジェクト」が主催する温泉総選挙2018では、2年連続で「うる肌部門」全国第3位に選ばれている。
 
 pH値は10.1。pH7.5~8.5未満は弱アルカリ性、pH8.5以上はアルカリ性と定義されるが、pH10以上は強アルカリ性。全国レベルで見ても、なかなかpH10を超える強アルカリ性の湯は貴重だ。
 
 これまで3500カ所以上の温泉をめぐってきたが、pH10超の湯は数えるほどしか入ったことがない。強アルカリ性の湯は、都幾川温泉(埼玉県)、白馬八方温泉(長野県)など数が限られる。そういう意味でも、大変貴重な温泉である。
 

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