昔、老舗フランス料理店の「アピシウス」でソムリエをしていた小澤伸光さんの自宅でホームパーティが開催されました。
誘ってくれたのは当時、フランスのサンボネ・ルフロアの「オーベルジュ・クロ・デ・シムズ」で知り合った杉本博則さんで、小平まで行ったわけです。そこで知り合ったのがアピシウスに10年ほどお勤めになった当店のオーナーソムリエの佐野敏高さんで、何年も前に店がオープンしたのですが、池尻大橋徒歩10分というのが私にはあまりにも遠く感じていたわけです。
それで、とあるレストラン(確か日本橋のフランス料理研究所だったと思いますが)で同席した女性が當店「カルム」の料理やセンスがよくてお好きだと聞いて驚いたわけです。それでも池尻大橋徒歩10分は私には遠かったのです。
最近、とある飲食店のホームページのリニューアルを依頼されたのですが、通販などもやっていて、私の事務所では手に負えないかなということで、昔、よく食事会でお会いした久保和之さんに相談したところ、食事でもして話しましょうということになり、店選びは私に一任され、初「calme(カルム)」となったわけです。だから人生は面白いですが、今月はそんな十年越しで訪問したお店を今月は紹介したいと思います。
訪問当日、自宅からのルートをGoogle先生に道案内をお願いすると、下北沢で乗り換えて井の頭線で駒場東大に向かいそこから徒歩15分とのことでした。私は、初めて駒場東大で下車して歩いてみました。なぜか、駅で交通手段のモードを車にしていたので徒歩5分となっていて???だったのですが、結局15分かかり店のおそらく近くに到着しました。この風景、山手通りの昔よく車で走ったところですね。山手通りの大きな道路が交わる場所にありました。
店は二階にあり、階段を上り店に入ると、佐野さんが優しい笑顔でお出迎えしてくれました。佐野さんはあのころと印象は変わらない気がします。
まずトイレに入ると本がいっぱい飾ってあります。佐野さんは本好き、旅行好きということで、とても個性的な店であることがまずこの段階でわかったのです。
アペリティフには木苺リキュールのソーダ割りからスタートします。
本日は酒呑みのコース6,000円にしてみましょう。
お料理は旅人のおつまみ ラム肉のシャワルマ風から始まりました。佐野さんが中東レバノンを旅していた時に出会ったスパイス料理の奥深さ。羊がたくさんいるカルムにぴったりのニュージーランド仔羊肩ロース肉を合わせスパイスでマリネをし低温で火を入れているそうです。おいしいですね。
続いてはワインをお願いしました。選んでいただいたのはハンガリーの白だそうです。2022 WEINGT BRUNDLMAYER Kamptal Terrassen(https://www.bruendlmayer.at/en/wines/filter/white-wine/)
青リンゴのような酸と柑橘のようなニュアンスでミネラル感もありますね。きりっとしておいしい。佐野さんが甘いアペリティの後に背筋がぴーんとするようなワインという表現とても適格でした。
千葉県白子の甘い新玉ねぎと三重の鮃。トマトのジュレがのっています。甘い新玉葱とあえて乱雑に切った鮃。とてもおいしいです。
三重のヒラスズキの皮目を焼きつけています。アスパラと蛸だったかな・・ズッキーニおいしかったのですが、忘れました。
というのは、ペアリングされたブルガリアのビオニエが印象的だったから、そちらに気をとられてしまったからです。佐野さんは私がコンドリュー好きなのを知っていたのでしょうか?
2023 Fort Burgozone Viognier
香りが印象的で私が考えるある意味理想的なビオニエだったと思います。ちなみに、Daniel’s Wine Shopの販売ページ(https://danielswine.club/products/fort-burgozone-viognier/)の紹介を引用すると。
英国の著名なワイン評論家オズ・クラーク氏は、ブルゴゾーネ・ワイナリーを「ブルガリアを代表するヴィオニエの生産者」として高く評価しています。この家族経営のブティックワイナリーは、ブルガリア北部、ドナウ川に沿った美しい丘陵地帯に位置しています。長く乾燥した成熟期がもたらす理想的な気候条件の中、鮮やかで果実味豊かなヴィオニエワインが生み出されています。
ブルゴゾーネ・ワイナリーでは、ブドウの選別に徹底的な注意を払い、最高品質の果実だけを使用しています。ブドウはステンレスタンクで低温発酵され、瓶詰め前には複雑さを引き出すため、1か月間澱(おり)とともに熟成されます。
完成したワインはシトラス、白桃とパイナップルのフレッシュな香りをもち、魅力溢れるワインです。クリーミーな口当たりとミディアムボディのバランスが素晴らしく、トロピカルフルーツの風味が心地良く広がります。繊細でフローラルな余韻が長く続き、大変エレガントな仕上がりとなっています。
メインはニュージーランドのグラスフェッドビーフのヒレ。
ペリグールソース(だったかな)しっかりと焼いてあり、噛みしめる味わいが広がるように仕上げてあります。
ワインはイタリアの赤ワイン二種です。若いワインと熟成したワイン。
デザートはチョコレートケーキ。濃厚かつどこかスパイシーでおいしい。
最後に、佐野さんが料理を作っていたことを知り驚きました。つまり、厨房には料理人おらず、この広さの店内をワンオペでやっていたのです。あれ、佐野さんのところに料理人いなかったでしたっけ、と佐野さんに尋ねると、斯く斯く云々。なるほどぅ。
いや、素晴らしかったです。お会計額も15,000円ちょっとととても懐に優しい店でした。ご馳走様でした。ぜひ、ワインの旅にお出かけください。
calme(カルム)
〒153-0044 東京都目黒区大橋1-2-5 新村ビル 2F
電話 03-6455-1932