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不動産

第75回 部屋と部屋等の間仕切り壁の下地のボード厚さは12.5ミリが良い

売れる住宅を創る 100の視点

今回は前回と同じフェーズ8の「 モノづくり 」です。その第4項目の『 ハード面の重視 』25項目中の第9項目である『 部屋と部屋等の間仕切り壁の下地のボード厚さは12.5ミリが良い。 』に関してのお話を致します。

 
前回はフェーズ8の「 モノづくり 」に於いて、住まいの『 ハード面の重視 』の大切さを認識して戴く目的でこのコラムに於いて25項目用意致しました中の、第8項目の『隣戸間の戸境壁は鉄筋コンクリート造厚さ20センチ以上必要で仕上げはクロス直貼りが良い。 』の御説明を致しました。
 
今回は分譲マンションのハード面やソフト面の良し悪しに依って特に売主の会社の「 モノづくり 」に対する姿勢が問われる住戸の遮音性、耐久性等の『 部屋と部屋等の間仕切り壁の下地のボード厚さは12.5ミリが良い。 』を皆様に詳しく御説明致します。
 
さて、今回も建築家として、私が最も得意とする「 モノづくり 」における重要な「 こだわり 」の御説明であります。
 
今回も、分譲マンションの「 モノづくり 」に対する「 こだわり 」に於いて売主が入居者( 購入者 )サイドに立った商品を製造・販売しているか否かが購入者にとってとても大きな判断基準になりますので、私の今迄の経験を通して御説明を致します。
 
いつも、このコラムで、申し上げていますが、この処の準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーの傾向を見ますと、良い商品を作って分譲している良心的なディベロッパーと、販売力の強さや数字のみに頼って分譲マンション等を企画し販売していますディベロッパーとの「 2極分化 」がかなり進んできております。
 
販売力の強さと数字のみに頼って販売しているディベロッパーに於いて現在は相当な苦戦を強いられ、その結果売れずに竣工後1年以上、在庫になっている住戸がかなり多いのが現状です。
 
更に、不動産業界は益々資本主義の原点である「 弱肉強食 」的傾向が強くなり「 超大手、大手ディベの寡占化 」がどんどん進んで、その結果、準大手ディベや中堅ディベが超大手ディベロッパーに吸収合併されています。
 
準大手ディベや中堅ディベが、これらの会社と独立独歩で対峙し勝負するには是非、分譲予定物件の「 モノづくり 」にはトコトン「 こだわり 」や「 誠意 」を持って商品を作る事やアフターの対応の良さがとても大切だと思います。
 
また、その様にしなければ生き残れないでしょう。その様な社風になれば顧客は売主の「 こだわり 」や「 誠意 」を敏感に感じとり購入意欲が湧きます。そして入居後もクレームの起きない良い商品を作る事で知名度も上がります。
 
例えクレームが起きましても迅速に誠実に対応すれば「 雨降って地固まる 」で誠意や信用度が回復できます。
 
誠意が感じられ入居後もクレームの起きない良い商品を作り続ける事に依って潜在顧客の信頼を勝ち取り、その結果、不動産業界や一般社会に於いて良い評判を立てる事が生き残る道です。
 
その様にされていれば、自ずと会社の信用度が高まり「 ブランディング形成 」( ブランドを高める事 )に結びつき「  超大手、大手ディベの寡占化  」に楔( くさび )が打てます。
 
準大手ディベや中堅ディベも 超大手、大手ディベに対峙し対等に勝負できる良い会社になると私は確信しています。
 
そして、それを継続し、魅力的なクレームの起きない良い商品作りを続けていけば、準大手ディベや中堅ディベは不動産業界だけでなく、一般の社会に於いて会社名や「 ブランド 」名の知名度も上がり販売におおいに寄与致しております。
 
ですので、今回の私のコラム74号『部屋と部屋等の間仕切り壁の下地のボード厚さは12.5ミリが良い。 』を参考に「 モノづくり 」を継続する事に依って不動産業界の中で超大手や大手ディベロッパーと同様か又はそれ以上に世間は評価致します。それでこそ、準大手や中堅ディベロッパーが生き残れる唯一の道だと私は確信しております。
 
「 継続は力なり 」です。そして常に事業主の会社は、先程も申し上げましたが「 誠実に勝る近道無し 」を心がけて戴きたいものです。
 
その様になる為にも、今回のタイトルの「 モノづくり 」第4項目の『 ハード面の重視 』25項目中の第9項目であります『 部屋と部屋等の間仕切り壁の下地のボード厚さは12.5ミリが良い。 』の内容は分譲マンションの商品企画・基本計画段階で住戸の遮音性、耐久性の良し悪しに関しての判断基準ですのでとても重要な事なのです。特に前回同様に今回の内容も売主の評価に多いにつながる事ですのでとても大切な事柄なのです。
 
手前味噌になりますが、今回も私が今迄約30年以上手がけました新規分譲戸建や新規分譲マンション等の設計業務、工事監理業務や設計監修の経験に基づいた大変貴重なお話なのです。
 
準大手ディベや中堅ディベの方々はこれから進める、建売戸建や分譲マンション等の商品企画・基本計画時点に於いて、今回のコラム75号の内容を良く理解して分譲マンションに取り入れて下さい。このコラム内容も、近年販売されている建売戸建や新規分譲マンションの仕様の中でも購入者( 入居者 )がかなりこだわりを持っている部分です。
 
そして、これも常に申し上げていますが、建売戸建や分譲マンションの計画時点で実行して戴きたい事が有ります。私が今までの設計業務の経験を踏まえて申し上げたい事は、準大手ディベや中堅ディベは、絶対に『 製販一体 』体制で計画を行う事です。
 
建売戸建や分譲マンション等の商品企画会議では製造部門と販売部門が一体になって戴きたいと思います。その理由は販売部門が顧客の生の声を商品企画会議で発言し製造部門に伝え、その内容が良ければどんどん商品企画や商品内容等に反映できるからなのです。
 
更に、今回の『 部屋と部屋等の間仕切り壁の下地のボード厚さは12.5ミリが良い。 』の具体的な必要性の内容が販売部隊の方々も良く理解できますので、顧客に対して自信を持って説明できるからなのです。
 
前置きがいつも長くて申し訳ございません。さて、今回は遮音性や耐久性に関する『部屋と部屋等の間仕切り壁の下地のボード厚さは12.5ミリが良い。 』をこれから具体的に御説明致します。
 
住戸内の間仕切り壁の下地は45ミリ×30ミリの軽量鉄骨( LSG )か、ほぼ同じ断面の大きさの木材を間柱にして約30センチ間隔で立ててその両側にPB( プラスターボード )を貼っています。
 
このPBにビニールクロスを貼って仕上がりです。購入予定者はビニールクロスの色やテクスチャー( 凸凹感や肌合い )はおおいに気にされますが、下地のPBの厚さには無関心の方が多いですが最近はかなり関心をお持ちの様に思われます。
 
このPBの厚さで事業主(売主)の体質が良く判ります。
 
通常、戸建やマンションの住戸で用いるPBの厚さは3種類あります。15ミリ厚、12.5ミリ厚と9.5ミリ厚です。ちなみに15ミリ厚のPBは住戸にはほとんど用いられていません。
 
当然、住戸内の間仕切り壁の下地に用いるPBの厚さは12.5ミリ厚が良いのです。
 
もし、検討中の物件の間仕切り壁の下地のPBの厚さが9.5ミリ厚であればその事業主は
これから何十年も住まう購入者への配慮が欠けて「 そろばん勘定 」が優先です。
 
理由は厚い方が耐衝撃に強いですし、遮音性も高いのです。何か思い物をぶつけても12.5ミリ厚PBであればちょっと凹むだけですが、9.5ミリ厚PBであれば割れてしまう場合があります。
 
主寝室と洋室が間仕切り壁で仕切られている場合は特に要注意です。9.5ミリ厚PBですと夫婦生活の音が深夜静かな時に隣室に居る子供に聞えてしまうケースが良くあります。
 
更に寝室や洋室の脇に水周りやPS( パイプシャフト )が有る場合は12.5ミリ厚のPBを2枚重ねて二重貼りしませんとトイレ、シャワーの音やPS内の竪排水管内の流水音が聞えて熟睡できない事が多いのです。
 
ところがここにも注目です。9.5ミリ厚PBを二重貼りにして遮音している「 そろばん勘定 」優先の物件が有るからです。12.5ミリ厚PB二重貼りで厚さは合計で25ミリですが9.5ミリ厚PB二重貼りですと厚さの合計は19ミリですので6ミリも厚さが薄いのです。
 
遮音性の高さは重量に比例して高くなりますのでこの6ミリの違いは大きいのです。夜中に家族の1人がシャワーを浴びても12.5ミリ厚のPB二重貼りなら浴室の隣が寝室でもさほど聞えてきませんので安心です。9.5ミリ厚のPB二重貼りならば遮音性が悪いのでシャワーの音が聞えてしまう場合が有ります。
 
目に見えない所ですが購入者が売主の姿勢を判断するのには大切な事です。
 
住戸内の間仕切り壁下地のPBの厚さは絶対に12.5ミリで計画して下さい。
 
更に分譲マンションの場合は「 二重床 」「 二重天井 」の工事を間仕切壁工事より先行している工法が有ります。
 
その工法に致しますと、間仕切壁工事をする時には「 二重床 」下からスラブ上の空間と「 二重天井 」とその上のスラブ下の空間まで間仕切壁が伸び、設置されていないという事なので、部屋同士の音が伝わり易くなります。
 
特に深夜や早朝、マンション周辺が静かな時間帯に浴室やトイレの使用音や、上階住戸からの排水が流れる竪排水管内の流水音が洋室( 寝室 )ではよく聞える事が有ります。
 
マンションのクレームで一番多いのは「 音の問題 」と常に私は申し上げています。
 
私のマンションチェックリストの中に『 住戸内の「 間仕切り壁 」はスラブ上から上階のスラブ下まで設置されているか? 』という項目が有ります。この項目は重要で評価点数が大きいのです。点数の集計結果では購入可或いは購入不可になる可能性が大きいのです。
 
私の建築家としての見解ですが、住戸内の内装工事に於いて「 二重床 」「 二重天井 」の工事を先に行い、その後住戸内の「 間仕切り壁 」の工事をすれば、「 間仕切り壁 」をスラブ上から上階のスラブ下まで設置するよりはるかに工事費は安くなります。
 
この工法ですと、更に工事期間も短縮できます。事業主( 売主 )にとってはおおいにメリットが有りますが、購入者( 入居者 )にとって全くメリットは無いのです。
 
しかし、事業主として購入者への信用は落ちていきます。購入者への信用を回復するのは容易ではありません。現在はブログ等で口コミは直ぐ伝わっていきます。
 
今回のコラムでは『 部屋と部屋等の間仕切り壁の下地のボード厚さは12.5ミリが良い。 』の御説明を致しましたが、この事も前回に増して分譲マンションを作る上でとても重要で大切な事ですので、是非共実行して戴きたいと存じます。
 
超大手や大手ディベロッパーは一流とは限らないと常に私は言っております。
 
超大手や大手ディベロッパーに於いても、部屋と部屋等の間仕切り壁の下地のPBの厚さが9.5ミリを臆面もなく採用している会社が未だに有り、その結果売れ行きが芳しくありません。
 
私の建築的価値観では一流と評価できますのは数社しか有りません。ほとんどが三流なのです。
 
一流のディベロッパーは購入者( 入居者 )への配慮が行き届いたマンションを供給しています。
 
何度も申し上げています様に、不動産の分譲事業で一番大切なのは売主の信用と顧客に対する配慮です。準大手ディベロッパーや中堅ディベロッパーにとって「 超大手、大手ディベの寡占化 」に対抗し勝つ為には顧客への気遣い及び将来クレームが生じないマンションを作り続ける事なのです。
 
ですので、毎回何度も注意を促していますが、商品内容の質やクレーム等で信用を落とすのは一瞬です。再度信用を築くには最低10年はかかります。この事もよく肝に銘じて下さい。
 
次回はフェーズ8の「 モノづくり 」第4項目の『 ハード面の重視 』25項目中の第10項目である『 間仕切壁に手摺設置や家具転倒防止金物設置用の下地が必要。 』に関してのお話を致します。
 
次回も期待して戴ければ幸いと存じます。
 
PS:1月8日(金)頃に「 一流マンションはここがスゴい 2016」版が上梓される予定です。
   このコラムを御覧戴いていらっしゃる方々が購入して戴ければ幸いです。
 
皆様、本年もよろしくお願い申し上げます。
 
 
 
 
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