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第23回 社員の幸せを考えるブレない経営とは?~事例:ツムラ

オンリーワンで勝ち残る企業風土づくり

<社員の幸せを考えるブレない経営とは?~事例:ツムラ>

勝ち組と負け組が明確になる今、経営者の判断がブレると会社は、これから負け組に入ってしまうでしょう。しかし、経営者の判断が理念を軸に、ブレなければ、会社は、生き残り、勝ち残ることが可能です。

なぜなら、先行きの見えない日本で現場は、経営の判断が常にブレない会社なら、その会社を信頼して“ついていこう”と思い、顧客の声に耳を傾け始めるからです。

会社は、永続する必要があり、永続させるには儲からなければならず、そのためには、顧客の声を聴き、必要とされる会社になり、利益を生み出すことが不可欠です。

経営者は代わりますが、変わらぬ経営理念を軸にブレない経営を実践し、会社の風土を築けば、現場が一つとなり、顧客になくてはならない会社には何が必要か?探り当てることができるのです。

そこで21回連載を終わり、今回からは全3回で“生き残り”をキーワードに経営者の戦略が経営理念とリンクすることで、これからの時代に“必要とされる会社”になれるのか?を、現場士気を向上することで売り上げをアップさせている会社を事例と共に解説いたします。


~存在意義がバスクリンのツムラを生き残りへ導いた!!~

創業1893年津村順天堂は日本初の成分にこだわった入浴剤「浴剤中将湯」を商品化。しかし会社の成分だけへのこだわりは消費者の支持を得るにはいたらず改良を重ねます。

その後1930年に温泉成分と芳香を加えた芳香浴剤「バスクリン」を発売し、当時他に類を見ない、香りと温泉という2つの癒し要素で、芳香浴剤「バスクリン」は夏用入浴剤としてベストセラーとなりました。

しかし業界初のこのヒット商品が同社をその後多角的経営に導き、業績が悪化してしまいます。

その時、同社は下記の2つの選択肢からこの成功事例を捨て、オンリーワンを目指す選択をしたのです。

 

・マーケットの大きい家庭用品事業をとる

オンリーワンを確立できるニッチのマーケットである医薬品事業をとる

バスクリンという入浴剤で一世を風靡したツムラ(当時津村順天堂)は、会社の起源(成分へのこだわり)を大切にしたことで会社の存在意義にこだわり、今も生き残ることができたのです。

 

~経営理念を目的と目標で具体化すれば、現場のベクトルはそろう!~

同社は存在意義にこだわることでマーケット拡大を目指すのではなく、オンリーワンにこだわったのですが、そのこだわりは、「自然と健康を科学する」という同社の経営理念となり言語化されます。

 

その結果、同社の経営理念は現場が日々働くミッション=目的となり

「漢方医学と西洋医学の融合により世界で類のない最高の医療提供に貢献します」という文言で明確にされ、現在医療用漢方製剤市場で80%以上のシェアを獲得するまでに至っています。

同社がこの圧倒的なシェアーを獲得できたのは、会社の経営判断が間違っていなかった(存在意義、オンリーワンにこだわった)ことだけではなく、現場がシェアー獲得という数値に甘んじることがない目標=ビジョン「“KAMPO”で人々の健康に寄与する価値創造企業へ”」の設定があったからです。

ツムラの現場ベクトルが全て目標=ビジョンへ向かうのは、つまり、扱い商品を“漢方”に絞り、この商品をツールとする限り、現場はどのような発想をしても会社が承認するというお墨付きを会社が付けているからなのです。

 

~目的=ミッション実現へ現場が一つになる仕組みとは!?~

ツムラは、寿命の延びた日本で自然と健康を科学する商品を<漢方>と位置づけ、<漢方>をとおして医療や患者さんの健康に貢献するためなら、現場の発想が何であっても認め、現場の自主性を促していますが、その仕組みとは、目標を長期経営ビジョンとして次のように明言化することで会社の現場全員がを共有できる仕組みを構築しているからです。

· 戦略・ビジョン 長期経営ビジョン〜2021年ビジョン〜

“KAMPO”で人々の健康に寄与する価値創造企業を目指して、 ツムラ国内のどの医療機関・診療科においても、患者様が必要に応じて “KAMPO”を取り入れた治療を受けられる医療現場の実現に貢献し、“人”のツムラ世界に手本のない“KAMPO”ビジネスにおいて、自らが新しい道を開拓でき、誰からも信頼される“人”の企業集団へとなり、“グローバル・ニッチ”のTSUMURAツムラグループの持つ技術・ノウハウを最大限活用します。

※同社は、ツムラが提供する漢方を同社独自の商品とするためKAMPOと表現

 

現場は会社の目的=ミッションは理解できます、

が、現場には会社の掲げる目的=ミッションには実感が伴いません

しかし、会社の目標=ビジョンシンプルで分かりやすいものに具体化(長期経営ビジョンで今までにない医療を提供する()と唱っている)されれば、現場士気は向上し、現場は一つになるのです。

 

●ツムラHP
https://www.tsumura.co.jp/zaimu/base/message/index.html

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