- ホーム
- オンリーワンで勝ち残る企業風土づくり
- 第53回 社員の幸せを考えるブレない経営とは?~事例:LEGO
~存在意義が売り上げアップにリンクする仕組みとは?!~
1932年レゴは木工職人のオーレ・クリスチャンセンが小さな木工所でおもちゃを製造したことから始まり、その後テレビゲームなどの台頭によって身売りの噂まで流れます。
しかし、2014年バービー人形で有名な米国マテル社を追い抜き、売り上げ・利益ともに世界最大の玩具メーカーになったのです。
同社がこのようにV字回復できたのは、なぜでしょうか?
答えは、創業時の経営理念に立ち戻り、「レゴは何のために存在するのか?最高とは何か?」という存在意義を突き詰め、再度理念をブラッシュアップすることで現場ベクトルをそろえることに成功したからです。
~経営理念の文言を顧客目線に変えれば家族経営で成功する!!~
レゴの創業以来の経営理念は「子供たちには最高のものを」でした。
が、新しい経営者であるトップ、クヌッドストープはレゴの商品の本当の価値は子供がレゴの商品を所有することではなく、子供がブロックを組み立て、作品をつくるプロセスにあると理解し、従来の経営理念を以下のように改訂しました。
<LEGO社の新経営理念>
「Only the best is good enough(最高のみがよいと言える)」
最高のものを作るという意味は、創業以来の理念と変わりありません。
が、子供が作品をつくるプロセスを重視するために、レゴが開発する玩具を開発段階で子供達のグループに見せ改良を重ね、その都度、最高のプロセスでものづくりを進めているか?を、検証したのです。
レゴグループは世界中で展開するグローバル企業でありつつも、クリエイティブなアイデアを商品化する、最高のプロセスにこだわることができるのは、現副社長を務める創業者の孫ケル・キアク・クリスチャンセンが家族経営を維持し、非上場を貫ぬくことで、効率重視ではない経営を実践しているからなのです。
~ミッションが現場ベクトルをそろえる顧客目線とは?!~
レゴ社は、企業理念「Only the best is good enough(最高のみがよいと言える)」に沿って同社が存在する目的=ミッションを達成するため、2004年に開発デザイナーの創造性確保のための既存の自由裁量項目(レゴのパーツの形や色、数)の内パーツの数に制限を設けます。
<ミッション(目的)>
「Inspire and develop the builders of tomorrow(ひらめきを与え、未来のビルダーを育もう)」
なぜなら、開発デザイナーが子供たちと同じように1つの製品の限られたパーツの数で創意工夫し、商品を開発しなければ、子供たちが限られた状況の中で知恵と創造力を振り絞り、大人では想像もつかないような作品を作り上げる醍醐味を開発デザイナーも共有できないからです。
常に会社目線であるデザイナーの「自由度が制限されれば、製品の創造性も損なわれる」という思い込みが、顧客目線を大義にして、<子供たちも制約がある中でイノベーションを起こしている>と気づいた時、会社にもイノベーションが生まれます。
制約の中で開発デザイナーが製品の創造性を生み出したとき「子供たちのひらめきが何であったのか?」と出会い現場がミッション達成へ向かうベクトルをそろえるのです。
レゴHP