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第16回 社員の幸せを考えるブレない経営とは?~事例:ブルガリホテル&リゾーツ

オンリーワンで勝ち残る企業風土づくり

~企業文化は“クオリティー(品質)”と“エクセレンス”(卓越性)~

1884年にイタリア・ローマで創業したブルガリは、今や世界各地に店舗をもち、取り扱う品は腕時計、レザーグッズ、ネクタイ、香水などへと広がっていますが、いずれの商品も熟練の職人が作り、職人たちは創業以来、ブルガリが培ってきたノウハウを継承しています。

現在同社はルイヴィトングループとなり、独自のブランド戦略で成長していますが、その軸となる同社の経営理念に相当するものとは、「<HERITAGE>(財産)を伝統によって継承し、進化させること」と言えます。

ギリシャで古くから伝わる銀細工師の家系としてスタートしたブルガリ家はローマに最初のお店を開き、その後、宝石、宝飾品、時計へと事業を拡大していくのですが、この過程でも同社に伝わる熟練職人としてのこだわりがブルガリだけの“バリュー”(価値)となり、先述の理念実現に向けての戦術となっているのです。

“ブルガリのバリュー(存在価値)”

成功への道のり・・・私たちは、あらゆる商品、すべての店舗、様々な活動において、日々競争に挑み、業界のリーダーになる

価値の創造・・・私たちは、努力、能力、起業家精神により価値を創造する活動こそ持続的な発展を可能にする

ブランド力・・・私たちの活動の全てがブランドの調和したスタイルを反映し育むものである

卓越性・・・私たちは組織においてプロ意識を持ち、一流の品質の商品とサービスをお客様に提供することで、卓越性に到達できる

人々の貢献・・・私たちは熱意、責任、献身を通してミッション(理念)の達成に貢献する、

誠実さと粘り強さ・・・私たちは誠実に明瞭に矛盾なく行動し、ミッション(理念)の達成を確実にする環境を築く

良い環境・・・私たちは敬意、信頼、プロフェッショナルとしての成長、チームスピリッツ、そして活気のある環境が私たちの社風の基本である

ブルガリのこだわりとは、同時に同社の企業文化でもある“最高レベルのクラフツマンシップ(熟練職人の技術)であり、これがバリューの一つ<卓越性>に明示され、その結果、一流の品質がブルガリで実現されているのです。

~ブルガリは、ホテル事業で存在意義を追求する!~

日本でも歴史のある企業が、代々続いたのれんを守ることだけでは事業を拡大展開できず、最終的に「<HERITAGE>(財産)を伝統によって継承し、進化させること」ができず、創業者の経営哲学という財産が遺産となってしまう例が後を絶ちません。

ブルガリは、19世紀に創業後、時計事業では2000年にスイスの高級機械式時計メーカー、ダニエル・ロートとジェラルド・ジェンタを買収、10年には完全統合しました。

このころからブルガリは高級複雑時計を自社で開発・製作することができるようになり、時計通も垂涎のブランドとして大きな注目を浴びるウォッチメーカーへと発展し、新しい顧客を開拓することに成功し、この流れは現在香水や日常の商品(シャンプーやリンスなど)へ広がり売上げの拡大に寄与しています。

ブルガリブランドとは、「熟練職人の伝統を引継ぎ、一流の品質の商品とサービスをお客様に提供することで、卓越性を味わってもらうこと」で、日常の商品(シャンプーやリンスなど)にまで進出したブルガリがすべきことは、真のブルガリブランドとは何か?を味わってもらうことで、それには、ブランドのこだわりを吹き込んだ空間が不可欠です。

そこで同社は、ブルガリの提唱する空間を、クラシック(伝統)とコンテンポラリー(現代)の融合と称し、2004年ミラノ、ブルガリホテルに続き、2006年10月インドネシア、バリ島に、ブルガリホテル&リゾーツをオープンさせます。

ブルガリホテル&リゾーツは他の都市型ホテルとは一線を画し、経営理念にこだわると共に地域密着にもこだわることで、ブルガリのホテルが存在する価値ではなく、存在する意義を明確にするため、バリでも特にウルワツ(神が存在する場所といわれる)地区にホテルオープンの許可がでなければ、バリの他の地区に許可がでてもホテルの建設を一切手がける決断をしなかったのでした。

その結果、ブルガリホテル&リゾーツは同社の経営理念に忠実に則り、「神が存在する地ウルワツ(<HERITAGE>(財産))を、バリの伝統(地元の工芸品、美しい陶製の調度品、木や石素材の彫刻品<リゾート内の石は、バリ島内で手作業で裁断され、彫られ、全て地元の技術を忠実に守った建築法が採用>。、手織物やバリの伝統的なジュエリー、神を慰めるようにと作られたシルクの機織物、バリ伝統織物ソンケット(songkets)など)によって継承し、進化(バリの伝統様式と中世の城壁を模したイタリアン・スタイルの出会い)させています。

宿泊客は、ブルガリホテル&リゾーツ バリの59棟のヴィラで滞在し、ブルガリというブランドのこだわりを体感し、体験し、ブルガリというブランドが単にジュエリーや時計や日常の商品を売るだけの会社ではないことを実感するのです。

 

~グローバルからローカルへ~

ブルガリは、ブルガリというブランドを戦略とし、ブルガリブランドが他社と大きく違うことを明確にするため、ブルガリホテル&リゾーツをこだわりのロケーションのバリ ウルワツ(財産となる地)にオープン。

ブルガリが提唱する熟練の職人が提供する品質と卓越性で、その財産をバリの伝統によって継承し、そこにイタリアの伝統を組み合わせ進化させ、ブルガリだけが提供できる、“ここしかない”豊かさを味わえるブルガリのオンリーワンのホテルに仕立てています。

 

今日本企業は生き残りをかけ、グローバルという土俵で勝負しようと挑んでいます。

が、実はグローバルという土俵で勝負しているブルガリという企業が、同社の経営理念に沿ってブルガリホテル&リゾーツ バリに執拗にこだわり、戦略としてローカル(地元)に密着しているように、会社の存在意義をローカル(地元)からグローバル(世界)に向けて発信すれば、それが成長(売上げを拡大させる)を加速させるエンジンになることを、理念経営は物語っているのです。
 


●参照 ブルガリホテル&リゾーツのインタビュー記事
https://www.facebook.com/pages/清水ひろゆき/247698155374573


●ブルガリホテル サイト
http://www.bulgarihotels.com/ja-jp/bali/the-resort/overview

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