中小企業金融円滑化法が3月末で終了した。「たいへんだ」と言っている経営者もいるが、実際はいまだ大きな影響は出ていない。
金融機関の融資担当者と会合で会ってこの話をしても「何も変わっていない」という回答しかもらえない。
東京信用保証協会管内の代位弁済の件数・金額を見ても前年同月比でもあまり変化していない。むしろ2011年12月の代位弁済件数・金額がとびぬけて大きかったことを考えると小康状態といえると思う。
東京信用保証協会月別代位弁済件数・金額(単位百万円)比較 | |||||
2012年12月
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2013年1月
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2013年2月
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件数
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金額
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件数
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金額
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件数
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金額
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673
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7,928
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485
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5,987
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472
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5,544
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2011年12月
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2012年1月
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2012年2月
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件数
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金額
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件数
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金額
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件数
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金額
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979
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11,036
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565
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5,958
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474
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5,738
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これらを見ると2011年の数値は異常だが、他はいつもと同じような気もする。
代位弁済の数字と言うのは倒産・破綻後2-3か月後に反映される数字だからタイムラグもあるのだが、こと東京に関しては倒産は急増してはいない。
もっとも関西のある県では今年に入り、代位弁済の数値が異常値を示している。
それと、ミクロの視線で見てみると、4月に入り、今までにないことをいくつかの金融機関で経験した。
ひとつは犯罪収益移転防止法にかかる資金のチェック
そしてもうひとつは、倒産後の信用保証協会の対応の仕方だ。
もっとも 「倒産後の信用保証協会の対応の仕方」は代位弁済の比率が高い県だからかもしれないが、どう見ても余力のない不動産に差押をかけてきたのだ。しかも債務者の了解をとっての話だ。そんなことをするくらいなら根抵当権を設定させてくださいと言えばいいものを、そうでなく仮差押というのには私もびっくりした。
このケースでいうと、仮差押が設定されている段階で任意売却は不可能と思われてしまい、競売になる。配当ももらえない債権者が競売するわけもないので、わざわざ1順位債権者が競売をすることになる。高めで売れればいいのだが、このての不動産はなかなか難しいことになる。
金融機関側に言わせれば、中小企業金融円滑化法でほとんど何も変わっていないのだが、じっさいの破綻後の債権回収の現場では、少しずつ対応が厳しくなっているように感じる。これとて地域差はあるのだろうが、債権者が、より勉強してきているのだと感じた。