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- あなたの会社と資産を守る一手
- 第4話 債務者のルール
数年前に起業したばかりのある会社・A社の経営に今でも関わっている。株主でもなく社員でもない僕が創業時からずっとそこの会社の商品の売り方から、システム、方向性までを考えてあげ、不思議なことに僕の考えたような方向性で事業が展開されている。
さらにいえば、そこの会社からちゃんとしたコンサルタント契約のオファーをいただいたこともない。それでも、さまざまな場面で僕自身もきっちりと儲けさせてもらっているのだからお互いwin-winではあるのだけれど。
ところで、最近、その会社に異変がおきつつある。
業務上のパートナーが必要となり、社長がある中堅の会社と契約を結んだのだが、その中堅会社の社長がA社そのものに興味を示し、「株主になりたい」と言って来たのだ。
増資する金額は現在の資本金の6倍~10倍程と思われ、A社社長から「どうしよう?」と相談された。かんたんな話、株式のほとんどをその中堅会社の社長がもつことになり、A社の創業社長は言ってみれば雇われ社長となるわけだ。
この話を受けたほうがよいのか?断るほうがよいのか?をさまざまな要素からメリット・デメリットで考えると受けたほうがよいという結論になり、A社社長に「受けたほうがいいよ」と伝え、その理由をちゃんと説明してあげた。
先行きが不透明なこのご時勢、こんな話はありえないのが普通。A社社長も「狐につままれたようなのですが・・・」と言って、疑心暗鬼の状態。
A社の財務を見ても、経常利益はだしているもののわずかばかり。預金がいっぱいあるとか、魅力的な不動産(固定資産)をもっているわけでもない。技術力も特別なものはない。失礼を省みずに言えば、A社社長も30代前半、人生経験も少ない。
じゃあ?なぜ その会社、しかも未公開中小企業の株をほしいと言ってきたのか?
おわかりでしょうか?
財務を見ただけではわからない場合、その内容、勘定科目の個別明細に答えが隠されていることがある。
わかりやすい例で説明すると、たとえば、売掛金の明細に その中堅企業が取引したいと思っている企業がずらっとならんでいた場合などがこれにあたる。当然その中堅企業の社長は、A社に出資しても十分ペイすると考えるからだ。 決算書などは数字を読むだけのものと考える人は多い。しかし、実は数字の奥に黄金の資産が隠されていることもあるのだ。