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- オンリーワンで勝ち残る企業風土づくり
- 第49回 社員の幸せを考えるブレない経営とは?~事例:リーバイス
今回からは全3回で“手づくり”をキーワードに会社が企業風土をどのように経営理念とリンクさせれば顧客を創造できるか?を、現場士気を向上することで売り上げをアップさせている会社を事例と共に解説いたします。
~理念の実践が、世界初の世の中に必要な商品を生み出す!!~
今やジーンズの代名詞ともなった会社リーバイス。
創業者リーバイ・ストラウスが掲げた理念とは?
「人々の声、社会の声に耳を傾けること」
同社は、リーバイ・ストラウス自身が創業理念に沿ってカリフォルニアの金鉱で働く労働者の「人々の声に耳を傾け」当時雑貨卸事業を手掛けていた取引先ヤコブ・デイビスと「衣料品のポケットの補強に金属リベットを使用する方法」の特許を取得したことから始まりました。
世界初のジーンズという商品は、つまり理念の実践がなければ、世に誕生しなかったのです。
~創業理念に戻れば、会社の原点が “何をすべきか?”を教えてくれる!!~
<人々の声に耳を傾ける>ことで誕生した丈夫なワークパンツは、金鉱で働く労働者に支持され、リーバイス社しか作り出せないジーンズとなり同社をオンリーワンのジーンズメーカーブランドの地位へと導きました。
しかし、その後、高級なデニム生地を使用するジーンズメーカーや価格で訴求する量販企業(ファストファッション)などが出現。
同社は世界で最初にデニム地を商品化した老舗ブランドという自信が邪魔をしてか、時代の変化に対応した付加価値のある商品を提供できず、「なぜリーバイスを選ぶのか?」という質問への明確な答えを見いだせなくなってきたのでした。
リーバイスは、この危機を打開するために、創業者リーバイ・ストラウスの理念(人々の声に耳を傾け)に再び戻り、顧客層を分類(以下)。
1・リーバイスを愛用している
2・リーバイスを愛用していた
3・リーバイスを愛用していない新規の顧客
顧客層3つの内(上記)2と3の顧客にアプローチすべく、老舗リーバイスのブランド(下述)を再定義し、創業当時のように世の中にない商品を生み出す会社の原点ともいえる<本物を手づくりでつくる>ための研究所(ユーレカ・イノベーション・ラボ)をオープン。
*<本物を手づくりでつくる>ための研究所(ユーレカ・イノベーション・ラボ)とは?
本社サンフランシスコの近くユーレカに(創業当時同様)職人を集め、創業理念<人々の声に耳を傾ける>に沿って、生地・履き心地・出来具合を軸に手づくりによって本物のジーンズを商品開発する機関
リーバイスは、理念に沿って<人々の声に耳を傾ける>ことで、<本物を手づくりでつくる>ための施策3項目(下記)を実施し、同社を、本物を追いかけるブランドへと、その地位を確立していくのでした。
<リーバイスブランドとは?>
・トレンドを追いかけるのではなく、本物を追いかけるブランド
リーバイスの<本物を手づくりでつくる>ための施策3項目
1・生地―オンリーワンインディゴブルー(デニム色)カラーのバリエーション
2・履き心地―ジャストフィット感の精度アップ
3・出来具合―自分仕様のデザインイメージの精査
~理念に戻れば会社は生き返る!その仕組みとは!?~
リーバイスは、研究所の開設により、老舗ブランドが職人の手づくりによって完成した本物のジーンズを、大量生産できる仕組み(仕様化=レシピ化)を構築しながら、もう一つの理念の文言<社会の声に耳を傾ける>に沿って、自社の存在意義(以下)を確かなものにしていきました。
<社会の声に耳を傾ける>自社の存在意義とは?
・資源の保護
―水量を減らし、ペットボトル再利用によるジーンズ商品の開発
※ウェイストレス(廃棄を減らす)ジーンズコレクションを発表
・コミュニティーの理解
―素材に関わる地域(インドやボリビアなど)にスケートボードパークを建設
※遊戯施設(スケートボードパーク)を通してジーンズに親近感を持ってもらう
(スケートボードはジーンズにこだわる顧客の多くが好むストリートカルチャーのため)
・環境の維持
―都会の自転車通勤に対応したジーンズ機能(撥水性とストレッチ性)の商品化
※二酸化炭素を減らすライフスタイルのサポート
リーバイスは、グローバル化が進むビジネスにおいて自社が選ばれる会社になり、支持されるためには、「責任ある商業上の成功」が不可欠だと考えています。
同社は、
企業理念「人々の声、社会の声に耳を傾けること」を軸にグローバル企業が責任を持たなければいけない3要素(大量生産・大量消費・大量廃棄)に対応し、手づくりという、自社の存在意義にこだわり、競合企業とは一線を画す世の中に必要な会社になることを目指しているのです。
リーバイスHP(日本語)<経営理念>