本業のかたわら、個人でアパート・マンション経営を行っている中小企業経営者は意外と多い。
会社での事業と、個人でのアパート・マンション経営は別物だと考えていても、いざ、本業の会社経営がおもわしくなくなると、個人資産である賃貸アパート・マンションを担保に入れたり、売却して会社の借入の返済にあてたりということが一般的におこなわれている。
銀行などから会社が融資をうけるとき、社長が借入の連帯保証人になるため、社長の資産も当然ながら銀行に把握され、会社の危機にあたっては会社と一体と考えられ、売却の対象、追担保の要求、はては差押・競売までも考えられることとなる。
仮に、個人資産を会社の取引銀行に伝えていなくても、個人信用情報を取得すれば、どこどこの銀行からアパートローンが出ていて、残高はいくらいくらあるくらいの情報はわかってしまい、あとは、自宅の不動産登記簿謄本を取り寄せ、共同担保目録から、社長が所有しているアパートはここなのだなくらいのことは簡単にわかってしまう。
自分が経営する会社の経営がうまくいかなくなるというのは、経営者としては考えたくないものだ。それゆえに個人資産を守るなどということはついつい忘れ去られる。
だが、経営者として個人資産を守る方法というのも存在する。
まず、理想から言えば収益不動産は現金で買うことだ。こうすることで個人信用情報を取得してもわからない資産ができることになる。ただし確定申告を見れば、この収益不動産の存在はわかってしまう。そこで、不動産経営をする別法人で収益不動産を購入するということが考えられる。法人での融資は返済期間が短いので、必然的に収益不動産の利回りは高いものでなければならなくなる。この別法人も社長を配偶者にし、本業の会社経営で関係のある銀行とは別の銀行からの融資で対応すれば、本業の会社と個人資産は分別できることになる。
さらにいえば、購入する不動産は安すぎてもだめだが、1億円以上などという高すぎる不動産でも「いざ」というときに売りづらくなる。購入希望者が手が出しやすい価格帯の不動産をいくつか扱い、適度な価格で売れるときに売って、また次の不動産を購入するというやりかたをしていけばいいと思うのだが。
最近、このての話ばかり舞い込み、「個人資産をどうやったら守れるか?」という質問ばかり受けることになっている。
考えてみれば単純なことなのだが、意外と個人資産を守るということが忘れ去られている。攻めるだけでなく守ることも必要なのだ。