menu

経営者のための最新情報

実務家・専門家
”声””文字”のコラムを毎週更新!

文字の大きさ

経済・株式・資産

第175回 国際競争力は産業集積にあり~北京亦荘開発区の示唆

中国経済の最新動向

中芯国際の最先端生産ラインが北京亦荘にあり

「日本経済新聞」2023年11月14日朝刊記事によれば、3年前のMate40Proと比べれば、Mate60Proのサプライヤーの主な変化は次の4つである。


①メイン半導体 設計は華為の子会社・海思半導体(ハイシリコン))で前と変わらないが、委託製造先は台湾積体電路(TSMC)から中国の中芯国際集成電路(SMIC)に変わった。

②有機ELディスプレイ サプライヤーは韓国のLGから中国の京東方科技集団(BOE)に変更した。

③タッチパネルが米国製から中国製に変わった。

④カメラのメインセンサーサプライヤーは日本のソニーから韓国のサムスンに変わった。

 

上記4項目のうち、高速通信規格「5G」に対応できるMate60Pro発売の決め手は、やはりメイン半導体サプライヤーの変更だ。


周知の通り、2020年発売Mate40Proのメイン半導体に使われた5ナノ世代チップはファーウェイ子会社の海思半導体(ハイシリコン)が設計したものの、生産は台湾のTSMCに委託した。しかし、米国の華為制裁強化によって、TSMCは華為に対し高速通信規格5Gに対応できる半導体の輸出が出来なくなった。そのため、華為は5Gスマホが製造できず、その悪影響が絶大だ。


ところが、今年8月に発売された5G対応のMate60Proのメイン半導体には中国メーカーSMICの7ナノ世代品が使われている。言い換えれば、台湾や韓国、米国の大手にしか作れないメイン半導体は、中国勢によって作られた。これは米国にとってショックであり、華為制裁の失敗を意味する。 レモンド米商務長官もショックを隠さず、12月11日に中国における半導体製造の最近の飛躍的前進に関し、「極めて憂慮すべきものだ」と認めた。


このMate60Proにメイン半導体を提供するSMICの最先端生産ラインは、まさに北京亦荘に構えられている。そしてMate60Proに使われる有機ELディスプレイのサプライヤー京東方科技集団(BOE)本社も亦荘にある。

北京亦荘開発区にある中芯国際(SMIC)工場。筆者撮影

次のページ

1

2

3

第174回 北京街頭で見た「3減3増」前のページ

第176回 市場はなぜ中国の5.2%成長を疑うか?次のページ

関連セミナー・商品

  1. 沈 才彬(しん さいひん)「爆発する中国経済」CD

    音声・映像

    沈 才彬(しん さいひん)「爆発する中国経済」CD

関連記事

  1. 第14話 なぜ朱鎔基前首相は 日本の子供たちの行動を絶賛したか?

  2. 第47話 中国経済はハードランディングするか?

  3. 第103話 なぜ日本のユニコーン企業は中国に比べ極端に少ないか?(下)

最新の経営コラム

  1. 第184回 長野土鍋ラーメンたけさん小布施店 @小布施 ~世界に躍進する「ビーガン味噌ラーメン」

  2. 朝礼・会議での「社長の3分間スピーチ」ネタ帳(2024年5月8日号)

  3. 第328回【社長のリーダーシップ編⑤】リーダーに必要な4つの要素④「変化への対応能力」

ランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10
  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

新着情報メール

日本経営合理化協会では経営コラムや教材の最新情報をいち早くお届けするメールマガジンを発信しております。ご希望の方は下記よりご登録下さい。

emailメールマガジン登録する

新着情報

  1. マネジメント

    挑戦の決断(22) 有事の必勝法は「機先を制する」(承久の乱と鎌倉幕府)
  2. マネジメント

    時代の転換期を先取りする(7) ベトナム終戦(ニクソンの決断)
  3. マネジメント

    故事成語に学ぶ(12)賢にして財多ければ則ちその志を損す
  4. 戦略・戦術

    第258号 2,330社
  5. 教養

    第68回 『ガルシアへの手紙』 (著:エルバート・ハバード、 アンドリュー・S・...
keyboard_arrow_up