中芯国際の最先端生産ラインが北京亦荘にあり
「日本経済新聞」2023年11月14日朝刊記事によれば、3年前のMate40Proと比べれば、Mate60Proのサプライヤーの主な変化は次の4つである。
①メイン半導体 設計は華為の子会社・海思半導体(ハイシリコン))で前と変わらないが、委託製造先は台湾積体電路(TSMC)から中国の中芯国際集成電路(SMIC)に変わった。
②有機ELディスプレイ サプライヤーは韓国のLGから中国の京東方科技集団(BOE)に変更した。
③タッチパネルが米国製から中国製に変わった。
④カメラのメインセンサーサプライヤーは日本のソニーから韓国のサムスンに変わった。
上記4項目のうち、高速通信規格「5G」に対応できるMate60Pro発売の決め手は、やはりメイン半導体サプライヤーの変更だ。
周知の通り、2020年発売Mate40Proのメイン半導体に使われた5ナノ世代チップはファーウェイ子会社の海思半導体(ハイシリコン)が設計したものの、生産は台湾のTSMCに委託した。しかし、米国の華為制裁強化によって、TSMCは華為に対し高速通信規格5Gに対応できる半導体の輸出が出来なくなった。そのため、華為は5Gスマホが製造できず、その悪影響が絶大だ。
ところが、今年8月に発売された5G対応のMate60Proのメイン半導体には中国メーカーSMICの7ナノ世代品が使われている。言い換えれば、台湾や韓国、米国の大手にしか作れないメイン半導体は、中国勢によって作られた。これは米国にとってショックであり、華為制裁の失敗を意味する。 レモンド米商務長官もショックを隠さず、12月11日に中国における半導体製造の最近の飛躍的前進に関し、「極めて憂慮すべきものだ」と認めた。
このMate60Proにメイン半導体を提供するSMICの最先端生産ラインは、まさに北京亦荘に構えられている。そしてMate60Proに使われる有機ELディスプレイのサプライヤー京東方科技集団(BOE)本社も亦荘にある。
北京亦荘開発区にある中芯国際(SMIC)工場。筆者撮影