先月、筆者は中国で集積回路の産業集積が最も進んでいる町・北京市亦荘(えきそう)経済技術区を訪れた。
訪問を通じて得た示唆は2つある。
1つ目は国際競争力が産業集積にあること。
2つ目は産業集積を進めるには政府の役割が不可欠であることだ。
きっかけは華為5Gスマホの新発売
今回の北京市亦荘経済技術区訪問のきっかけは、高速通信規格「5G」に対応できる華為スマホ Mate 60 Pro の新発売である。
2023年11月下旬に北京市亦荘経済技術開発区を訪れた筆者
今年8月、華為は予告なしに5Gスマホの新機種Mate60Proを発売した。Mate60Proは中国通信機器分野の最新技術を集約し、米国による華為制裁と封鎖を打ち破り、通信業界を驚かせた。発売すると、中国で絶大の人気を集め、華為ファンの人たちを熱狂させた。
新発売のMate60Proは3年前に発売されたMate40Proと比較すれば、部品構造に何が変わったか?日米欧の調査機関はそれぞれMate600Proを分解し、分析の結果を発表した。
これらの分析結果を総合すれば、新機種の部品(件数)の約9割が中国製であり、そして複数のコア部品サプライヤーが北京亦荘にあることが分かった。筆者はその分解・分析結果に大変興味があり、北京市亦荘経済技術開発区の訪問を決めたのである。