2011年初頭から、「世界のエンジン」と言われる中国経済の減速傾向が鮮明になっている。去年1~3月期は9.7%、4~6月9.5%、7~9月9.1%、10~12月8.9%と、四半期ごとに伸び率はスローダウンしている。今年も引き続き減速するに違いない。
経済減速が続く中、中国の株式市場は今年、どんな展開が予想されるか?言い換えれば、株価は上昇するか?それとも下落するか?これは機関と個人を問わず投資家の関心事である。
さる3月7日、筆者はSMBCフレンド証券主催の法人セミナーで、「経済減速が続く『巨艦』中国の次の一手は?」を題とする講演の中で、今年の株価に触れ、次のように語った。
「これまでの経験則によれば、今年中国の株価上昇の確率は9割以上と思う」。
中国の株式市場は一体どんな経験則があったのか?2つの経験則がある。1つ目は5年に一度の共産党全国大会開催および新体制誕生の年には、一般的に株価が上昇する。
上海株式市場が誕生したのは1990年のことであり、以降、党大会は4回も開催された。1992年、1997年、2002年と2007年である。そのうち、2002年を除いて、上海株価総合指数はいずれも上昇した(図を参照)。例外は一回だけ、2002年に株価が下落した。この年に政府は無秩序の株式市場を整理・整頓するために、取り締まりを強化するという特殊要因があったのである。
それでは、なぜ党大会開催の年に株価が上昇するか?周知の通り、中国は共産党一党支配の国であり、5年に一度の党大会開催はこの年の最大の政治イベントとなる。党大会の開催を成功させ、政権交代がスムーズに行われることは至上命令だ。そのために、政治的には「安定の確保」、経済的には「成長の確保」が最重要課題と位置付けされる。株式市場もそれなりの「党大会相場」の様相を示して反応するのだ。今秋、第18回党大会の開催が予定され、習近平体制が誕生する。そのため、今年の上海株価総合指数が上昇する確率が高い。
2つ目の経験則は、株価が3年連続下落しないことだ。株式市場発足の1990年から去年までの20年の間に、上海株価総合指数は3年連続上昇のケースがあるが、3年連続下落のケースは無かった。株式市場は自分なりのメカニズムがあり、株価はある程度下落後、テクニカルには反発の機運が高まる。中国の株価は2010年と2011年、2年連続で大幅に下落した。今年は引き続き下落する余地が少なく、逆に上昇する確率が極めて高いと見ていい。
要するに、今年、ユーロ危機という国外リスクと住宅バブルのはじけという国内リスクによって、中国の経済成長率は若干下がる。しかし、前述した2つの経験則によって、株価は逆に上がる。こうした株価と経済成長率の非連動性は、実は過去20年間にわたって何回も示されたのである。
最後に、あくまでも筆者の予測だが、今年上海株価総合指数の高値は3000ポイント前後になるだろう。