昨秋以来、画像生成AIの「Stable Diffusion」、質問に人間のような文章で答えてくれる「ChatGPT」など、指示に従って画像、文章、プログラム、音楽、レシピなどを生成する「ジェネレイティブ(Generative) AI」が注目されている。
「ChatGPT」はマイクロソフトが100億ドルの投資を発表し、自社の検索エンジン「Bing」やwebブラウザ「Edge」への組み込みを発表している。
「Bing」の検索には、「ChatGPT」に使用されているシステムの次のバージョンである「GPT-4」を使った次世代OpenAI大規模言語モデル「Prometheus(プロメテウス)」が既に搭載されているが、Web全体から利用者が探している答えを見つけて要約したり、チャット機能を提供する「ChatGPT」的な機能はテスト段階で、利用順番待ちリストの登録は48時間で100万人にのぼっているし、169カ国の人が1週間行った初期テストでは暴走や間違った答えを出す事例も報告されているものの、AIによる回答内容を支持する人が71%もあった。
ネット検索では一人勝ちしていた「Google」も「ChatGPT」の登場に危機感を持ち、対抗するAI搭載の新たなチャットボット「Bard(バード)」を試験者に公開したが、「不正確な回答を生成した」というロイターの報道などが影響して2月8日に株価が7.7%急落するという事態も起こるなど、株式市場からも注目されている。
■時代の転換期
今は「時代の転換期」であることは明らかだが、「ジェネレイティブAI」はAIが、人類の知能を超える転換点である「シンギュラリティ(Singularity)」を生む可能性も指摘されている。
これに関して試しに「ChatGPT」に聞いてみたところ、
「ジェネレイティブAI自体がシンギュラリティを生むことはないと考えられます。ジェネレイティブ AIは、人工知能が与えられたデータを元に新しいデータを生成する技術ですが、それ自体が自己進化し、人間の知能を超越することはありません」
「ただし、ジェネレイティブAIの技術が今後発展し、より高度な表現力や汎用性を獲得することで、それを活用した応用技術が生まれ、社会や産業の変革を引き起こす可能性はあります。そのような変革が起こることで、人間とAIの関係性や社会的な構造が大きく変化する可能性があります。しかし、それがシンギュラリティを生むかどうかはまだ明確には分かっていません」
という納得できる内容の答えが返って来た。
「ジェネレイティブAI」の活用はこれまでの「知識」を探すネット検索から一歩進んで、ネット上の大規模なデータを学習したAIに意見を求めたり、画像の下描きやプログラムのパーツを作ってもらうなどのパートナー的な存在となりそうだ。
私はAIは「artificial intelligence(人工知能)」というより、「Augmented Intelligence(拡張知能)」という面で今後は日常的に使われると考えている。
======== DATA =========
●ChatGPT
https://openai.com/blog/chatgpt/
●Bing
https://www.bing.com/