日本経営合理化協会の「本郷バレー・リモート視察セミナー」でお話いただいた「テトラ・アビエーション」中井社長が、7月26日に米航空展示会「EAA AirVenture Oshkosh 2021」で発表した「Mk-5」は、100kmを30分で移動できる空飛ぶ車だ。
正式には、「電動垂直離着陸機(eVTOL=イーブイトール))」と呼ばれる人が乗って移動する次世代航空機で、テトラ・アビエーションではこれを2025年の大阪万博で飛ばすため、現在機体の開発や資金調達などを行っている。
「Mk-5」(40万ドル=4,400万円)はアメリカで販売予約を受付けているが、既に100件以上の問い合わせがあり、購入者には来年度中に納品予定だという。
まずは自家用機を持ち、車のように普段の移動に使っている人が多いアメリカの富裕層を中心に販売し、その後は無人ドローンでは難しい海洋風力発電装置の点検やメンテナンスなどにも用途を広げ、最終的にはエアタクシーなどもやるという事業プランも持っており、さすがに東大ベンチャーはしっかりしているという印象を持った。
今回の「本郷バレー・リモート視察セミナー」で、シリコンバレーや深センに引けを取らない有望なベンチャー企業が日本にも続々と誕生していることを実感した。
■eVTOL
ホンダも9月30日に、2030年以降の事業化を目指してeVTOLの開発を進めていると発表、自動車の開発などで培ってきた電動化、燃焼、空力、制御などの技術を生かし、航続距離400kmの都市間移動を想定した8つのプロペラを搭載した、モーターとガスタービンの力で浮上する機体を開発しているようだ。
トヨタ自動車も、空飛ぶタクシーの開発・実用化を進める米新興企業ジョビー・アビエーションに昨年3億9,400万ドルを出資しているし、旅客機の双璧である米ボーイングや欧州エアバスや中国企業も開発に力を入れており、今後は30兆円市場に成長すると期待されている。
バンク・オブ・アメリカが、今後期待される未来技術としてあげた14項目の中でも、eVTOLは6G(第6世代移動通信技術)に次いで成長が期待されている分野で、10年後には空飛ぶ車で移動することは珍しいことではなくなるかも知れない。
======== DATA =========
●テトラ・アビエーション
https://www.tetra-aviation.com
●EAA AirVenture Oshkosh 2021
https://www.eaa.org/airventure
●Hondaの新領域への取り組みについて
https://www.honda.co.jp/news/2021/c210930b.html
●ジョビー・アビエーション
https://www.jobyaviation.com