- ホーム
- 社長のメシの種 4.0
- 第59回 リモート美術鑑賞
新型コロナウィルス感染拡大によるロックダウンや緊急事態宣言発令によって、世界中で音楽コンサート、演劇、美術展、スポーツの試合などが中止となった。
その後、4ヶ月間休館していたルーブル美術館が7月6日から再開、7月21日から北京の故宮博物院が170日ぶりに展示室を再開(紫禁城は5月1日に再開)、6ヶ月間休館していたロンドンの大英博物館が8月27日、NYのメトロポリタン美術館が8月28日から再開するなど、やっと美術館がオープンし始めたが、日本では自宅などからロボットを操作して鑑賞できる展覧会が行われている。
これは東京藝術大学美術館で開催(7月23日〜9月6日)されている「あるがままのアート -人知れず表現し続ける者たち-」で、参加者は予約した時間にパソコンを使って会場にある「Double 3」というロボットを遠隔操作で走行させて、会場に来ている人と一緒に自由に作品を見て回ることができるものだ。
■Robot Viewing
「Robot Viewing」システムと呼ばれているこのロボットを使った鑑賞を2度体験してみたが、ロボットの目を通した鑑賞のため、うまく操作ができずに見る角度や細部を確認したりなどが難しい面もあるものの、その場に行っている臨場感は体験でき、写真機能で展覧会の様子や作品の写真も撮れるので、美術館に行く体験を自宅でも味わうことができた。
各ロボットには一人ずつ案内の人がついてくれるので、機能や順路などわからないことは気軽に質問できるし、ロボットの操作に慣れずに来場している人とぶつかりそうになった時は、ロボットの向きを変えてくれるなどのサポートもしっかりしていたので、2度目の時は作品鑑賞に専念することができた。
友人などに予約内容を知らせることで最大5人まで同時に鑑賞ができ、ビデオ通話をしながら一緒にイベントを楽しめる機能もあった。
また、私が行った時に会場にいた小学生の男の子は、展示作品よりも私の操作するロボットの方に興味があったらしく、ずっと後を付いてきて一緒に展覧会を回っていた。
ルーブル美術館は館内の様子を360度見渡せるオンラインビューイングや、テーマに沿って館内を回り作品の詳細等を見ることのできるバーチャルツアーが用意されているし、メトロポリタン美術館は「The Met 360° Project」という館内を360度自由に見渡せる動画や、Google Arts & Cultureでストリートビューを使った鑑賞ができるし、故宮博物院も館内を見られるオンラインビューイングが提供されており、主要美術館では作品や館内の様子は見られるが、今回の「Robot Viewing」のように来場者と共に見て回れるのは画期的で、今後このようなロボットを活用した鑑賞システムの進化が期待される。
======== DATA =========
●あるがままのアート -人知れず表現し続ける者たち-
ロボ鑑賞会予約サイト:https://reserve.art-as-it-is.jp
会場:東京藝術大学大学美術館:東京都台東区上野公園12-8
会期:2020年7月23日(木・祝)~9月6日(日)
開館時間:10:00~17:00(最終入場は16:30)
●ロボット企画:ワットエバー / Whatever