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経済・株式・資産

第115話 税金を滞納するとどうなるのか?(5)

あなたの会社と資産を守る一手

 税金滞納のままで、会社を清算しても滞納している税金は払わなくてはいいということにはなりません(注意1)

 ところが、破産の場合は、破産手続の終了により会社の法人格が消滅するので、その会社に対する滞納税金や滞納社会保険料の請求権は消滅します。
ただし、法人が破産する場合、注意する点がいくつもあります。

 たとえば、破産した法人が合名会社、合資会社などの場合、無限責任社員は滞納した法人の税金を納付する義務を負います。また、 第二次納税義務の規定に該当すれば該当者は本来の納税義務者に代わって税金を納付しなければならなくなります。

 この「第二次納税義務」 は国税徴収法の31条~41条に規定されているもの(注意2)で、 注意が必要です。
「第二次納税義務」はかんたんに言ってしまえば、税金を滞納した当事者でなくても、要件を満たせば、滞納した会社などの税金を払わなければならないということです。

 実務においてはこの第二次納税義務が登場することはあまりありません。
中小企業が倒産して税金滞納のまま、家族が社長になり第二会社を作り営業するなどということはかなりありますが、
その多くのケースで再び破綻に向かうか、事業が縮小していくのでどうせ回収できないと考え、税務署は第二次納税会社についてそれほど調査しないのだとさえ思えます。

 ただ、そうはいっても滞納会社の不動産などの資産の低額譲渡・無償譲渡や、事業譲渡においては慎重な対応が必要になります。国税、地方税ともこれらに関しての裁決事例はそれなりの数があるからです。

 こうやってみてくるとわかると思いますが、税金を滞納している会社を破産させ、一部事業を別の会社で何とか維持させようとするときは破産の時期を含めてきわめて綿密な事前準備をしないとうまくいきません。

 さらに、第二会社の事業継続は困難をきわめます。企業再生をかなりこなしたことがある専門家でも第二会社が生き残れるかどうかの見立ては難しく、それを判断する材料はあるものの、突発的な何かで再び破綻することもあります。
リスクを慎重に考えて行動しないと思わぬ落とし穴にはまることがあります。

 

注意1
法人税法基本通達1-1-7 
1-1-7 法人が清算結了の登記をした場合においても、その清算の結了は実質的に判定すべきものであるから、当該法人は、各事業年度の所得に対する法人税を納める義務を履行するまではなお存続するものとする。
  当該法人が各連結事業年度の連結所得に対する法人税を納める義務(法第81条の28第1項《連結子法人の連帯納付の責任》の連帯納付の責任を含む。)を有する場合も、同様とする。(昭55年直法2-8「二」、昭56年直法2-16「二」、平15年課法2-7「二」、平22年課法2-1「二」により改正)

 

注意2
国税徴収法の31条~41条

(事業を譲り受けた特殊関係者の第二次納税義務)
第38条 

納税者が生計を一にする親族その他納税者と特殊な関係のある個人又は被支配会社
(当該納税者を判定の基礎となる株主又は社員として選定した場合に法人税法第六十七条第二項(特定同族会社の特別税率)に規定する会社に該当する会社をいい、これに類する法人を含む。)で政令で定めるものに事業を譲渡し、
かつ、その譲受人が同一又は類似の事業を営んでいる場合において、その納税者が当該事業に係る国税を滞納し、
その国税につき滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められるときは、
その譲受人は、譲受財産の価額の限度において、その滞納に係る国税の第二次納税義務を負う。
ただし、その譲渡が滞納に係る国税の法定納期限より一年以上前にされている場合は、この限りでない。

* 平成28年度税制改正 で改定あり

事業を譲り受けた特殊関係者の範囲の変更
譲り受けた事業の行われる場所が同一である要件の削除
責任の限度が「譲受財産」から「譲受財産の価額」と変更

 

(無償又は著しい低額の譲受人等の第二次納税義務)
第39条 

滞納者の国税につき滞納処分を執行してもなおその徴収すべき額に不足すると認められる場合において、
その不足すると認められることが、当該国税の法定納期限の一年前の日以後に、
滞納者がその財産につき行つた政令で定める無償又は著しく低い額の対価による譲渡(担保の目的でする譲渡を除く。)、
債務の免除その他第三者に利益を与える処分に基因すると認められるときは、これらの処分により権利を取得し、又は義務を免かれた者は、
これらの処分により受けた利益が現に存する限度(これらの者がその処分の時にその滞納者の親族その他滞納者と特殊な関係のある個人又は同族会社(これに類する法人を含む。)
で政令で定めるもの(第五十八条第一項(第三者が占有する動産等の差押手続)及び第百四十二条第二項第二号(捜索の権限及び方法)において「親族その他の特殊関係者」という。)であるときは、
これらの処分により受けた利益の限度)において、その滞納に係る国税の第二次納税義務を負う。

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