ベンチャー企業に投資するベンチャーファンドはコロナバブル期に拡大し、2021年だけで新興企業への資金流入額は6,400億ドルに達した。
2012年に比べると2021年の世界の投資額は10倍になっており、これらにはヘッジファンド、多国籍企業のベンチャー部門、世界の政府系ファンド、ファミリー・オフィス、大学基金、実業家、年金基金なども参加していた。
しかし、2021年後半からは、高騰するインフレ対策として各国の中央銀行が金利を上昇させ、コロナ資金も縮小していったことで株価は下落、ハイテク企業の多いナスダックは2022年に33%以上も下落し、2000〜2001年にかけてのITバブル崩壊と比較されるような最悪の年の1つとなった。
ハイテクに特化した金融機関のシリコンバレーバンクによると、2021年第4四半期から2022年の間にアメリカで上場したハイテク株の平均価値は63%下落、上場株の値下がりは非公開企業の評価額も引き下げたため、2022年最終四半期にVCファンドに流入した新規資金は2015年以来の低水準となった。
このようなベンチャー投資冬の時代に、話題のChatGPTをはじめとする「ジェネレイティブ(生成)AI」という希望の光が登場し、この分野には投資が集まっている。
AI関連株
今年に入り市場では中央銀行の利上げが今年後半には止まり、利下げに転換するという期待も出て株価は上昇したが、2月になると好調な米経済指標の発表が相次ぎ、これが利上げを後押しすると懸念されて株価は下落、米主要500社の株式指数であるS&P500は2月に2.5%下落した。
そのような中で、3月に入りAI関連の株価が高騰した。
企業の業務をAIを使って効率化するプラットフォームを提供している「C3.ai」という会社の四半期業績が市場予想を上回り、2023年度の売上高と利益見通しも、予想を超える好調な内容となったことで一日に33.65%上昇、これが発端となりビッグベアAI(11.97%高)、サウンドハウンドAI(24.51%高)、ガードフォースAI(28.57%高)など社名に「AI」が入っている会社の株も「AI関連株」と見られて上昇した。
AIは今後様々な分野で活用され、効率化や世の中を便利にするために使われると思われるが、今起きている「AIブーム」には気をつけた方がよさそうだ。
======== DATA =========
●C3.ai
https://c3.ai
●サウンドハウンドAI
https://www.soundhound.co.jp
●BigBear.ai
https://bigbear.ai
●Guardforce AI
https://ir.guardforceai.com