米Amazon(アマゾン)は、8月5日にロボット掃除機「ルンバ(Roomba)」のiRobot(アイロボット)を負債を含めて17億ドル(2,300億円)で買収すると発表した。
このニュースで、最初は、Amazonの倉庫で走り回る「Amazon Robotics」の性能向上にiRobotの技術を使うためではないかと考えた。
今年3月にオープンした西日本最大の物流拠点「尼崎FC」でも、倉庫内で商品棚を持ち上げて箱詰めを行う人の所に持ってくるロボットが走り回っているが、これは2012年に買収したカナダの「Kiva(キバ)」製ロボットをベースにしたものだ。
2002年の「ルンバ」発売以後のiRobot社は、家庭用ロボット掃除機メーカーとして知られているが、1990年の設立直後はAI搭載の軍用遠隔操作多目的ロボット「PackBot(パックボット)」などを作っており、9・11テロ事件での捜索、イラクやアフガニスタンなど戦場での偵察や爆弾処理、福島第一原発事故の原子炉建屋の放射線量計測、動画撮影調査などに使用されている。
また、部屋の間取りを憶えて効率的に家の掃除をし、バッテリーが減ってくると自動的に自分で充電に行く「ルンバ」と、Amazonの倉庫内ロボットは、形状的にも機能的にも似たものを感じていた。
■家庭の間取り情報
しかし、今回の買収後に、この「間取り情報」への危惧を持つ人が多いことがわかった。
地雷探知技術を応用して家庭内の間取りなどを憶え、邪魔な障害物がいろいろある部屋を効率的に掃除する「ルンバ」は、家事に費やしていた時間と労力を節約できる便利なロボットで、全世界で4,000万台以上が売れている。
巨大IT企業のAmazonは、音声認識AI「Alexa(アレクサ)」を中心とした家電製品を増やしており、今回の買収で「ルンバ」もそれに加わるため、ロボット掃除機が把握していても気にならなかった家庭の「間取り情報」の使われ方を心配する人が増えた。
「ルンバ」を使っている家庭にAmazonから「こんなソファーはいかがですか?」などというメールが来るのは歓迎しないが、「ルンバ」が掃除以外も家庭のストレスを減らしてくれる機能を提供したり、Amazon倉庫の効率改善で注文商品がスムーズに届くようになることはありがたい。
======== DATA =========
●Amazonのプレスリリース(英語)
https://press.aboutamazon.com/news-releases/news-release-details/amazon-and-irobot-sign-agreement-amazon-acquire-irobot
●iRobot(日本)
https://www.irobot-jp.com