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- 第24回 ティッピング・ポイント
昨秋にシリコンバレーを訪問した際、元BMWで自動運転関連に投資しているベンチャーキャピタル・Icebreaker Venturesのマーク・プラシド氏は、「2019年は自動運転のティッピング・ポイント(tipping point)になる」と話していた。
「ティッピング・ポイント」とは、ある一定の数値を越えると、その後に物事が一気に広がっていく時期や時点を指す言葉で、今年は「自動運転車元年」になりそうだ。
プラシド氏によるとGoogle傘下の自動運転開発会社・Waymoがジャガーに発注している2万台の自動運転車が、今年アリゾナ州フェニックスで「ロボットタクシー」として走り出す予定で、これに一日一台50人が乗車すると毎日100万人(50X2万=100万)が自動運転車を体験することになるため、これが普及の第一歩(ティッピング・ポイント)となるとしている。
プラシド氏が言っているGoogleのロボットタクシー事業は、「Waymo One」という名前で昨年12月5日公式に開始され、アリゾナ州フェニックスとその周辺の一部都市で利用されている。
しかし、このサービスはまだ地域住民による公道試験「アーリー・ライダー・プログラム」に参加した400人しか利用できないもので、人間が操作をしないレベル4の自動運転だが、車が予期せぬ動作をした場合に備えて人間が運転席に座っているというもので、まだ誰でも利用可能な無人運転サービスではないが、実用的なサービスの第一歩が踏み出されたことは画期的だ。
利用者はUberなどの配車サービスと同様にアプリを使ってタクシーを呼び、対象地域(フェニックス周辺の200~260m2圏)のどこでも行け、友人などの同乗者も乗せることもできる(利用料は15分程度の走行で700円ほど)。
昨年3月に、Uberの自動運転車がアリゾナ州で歩行者を跳ねた死亡事故を起こしており、この10年間に米25都市で1,000万マイル(約1,610万km)の公道走行実験を行い、100億マイル(約161億km)のシミュレーション走行をしているGoogleでも、安全な自動運転に関してはまだ安全を確保できると確信できる段階には達していない。
だが、ベルリンの壁崩壊、天安門事件があり、その後の軍事技術の民生化や中国の経済発展の第一歩となった平成元年(1989年)同様、日本の元号が変わる今年は自動運転車を始めとした新時代の元年になりそうだ。
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●Waymo