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人事・労務

第38話 2011年 社長・重役の報酬の実態調査から

「賃金の誤解」

 「東日本大震災、原発事故、ユーロ不安に伴う円高そしてタイの大洪水等緊急事態に見舞われた2011年、ヨソの会社は社長の給料(報酬)をどのように決めたのでしょうか。同業者、あるいは同規模程度の社長報酬の水準を知りたいのですが、情報が少なく、よく分かりません。併せて納得できる役位別報酬の調査データがあれば教えて欲しいのですが」。
 賃金管理研究所は1978年から定期的に、役員報酬の実態調査を実施しており、2012年5月に27回目の最新調査レポートを発表いたしました。調査の全容を紹介することはとてもできませんが、この調査レポートから会社を代表する社長の報酬を確認してみましょう。役員報酬は毎月決まってもらう「基本報酬(定額給与)」と期ごとに業績と貢献度を確認して決算後決める「役員賞与」、あるいは期の始まる前に決めておく「事前確定届出給与」があります。
 そのうちで最初に確認すべき報酬は、従業員の月例給与に相当する「基本報酬」です。この社長の基本報酬は、当然のことながら、規模の大小により格差があります。
 読者の中には業種も報酬に関わりあるはずだとお考えの社長もいらっしゃると思います。しかしそれは、大企業が多い業種なのか、中堅、中小企業が多い業界かを考えればおのずと答えはでてきます。
 従業員規模別に社長報酬を大くくりに集計した結果が下の図表になります。企業規模と社長の基本報酬月額には明確な相関性があることが確認できます。
 
yatomi38_01.jpg 社長の基本報酬月額は規模計の平均額で240.7万円でした。これを従業員規模別で見ると、従業員3000人以上の大会社の社長は428.4万円、従業員1000人以上3000人未満の中堅企業は408.8万円ほどでした。そして300人以上1000人未満の中規模企業は266.7万円であり、100人以上300人未満の中小企業は235.0万円ほど、100人以下の企業では社長の月例報酬は168.8万円ほどとなっています。
 規模計を1.00とした場合、(1)上場企業が多い大企業および中堅企業ではその倍率は1.7倍ほどとなり、(2)中小企業は1.0倍ほど、(3)小規模企業は0.7倍と、規模に対応する形で3つのグループが存在することが分かります。
 確かに規模に比例して3つのグループが存在します。しかし、数値は平均的な数値ですから、従業員規模で自社の規模と一致したからといって、「自社の社長の基本報酬額」にそのまま当てはめて決めれば良いというものではありません。
 なぜなら、社長といっても、その実態は創業社長なのか、2世社長か、社内昇進の生抜き社長か、親会社からの派遣社長か、あるいはスカウト社長かなど、それぞれの事情によって異なるからです。さらに何年間社長に在籍しているのか、どのような役位を何年経験して社長になったか等、要素の違いが関わってきます。それらを包括しつつ、平均値として集計したものがこの数値です。
 
 第27回社長・重役の報酬・賞与・年収額の実態調査レポートから、その一部を解説いたしましたが、本レポートは全18ページにわたり詳細なデータを網羅しており、実費相当額(特別価格2100円)でご購入いただけます。詳しくは賃金管理研究所のホームページ(http://www.chingin.jp)でご確認ください。

 

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