7月23日、インド・ボンベイ証券取引所に、インド初のユニコーン企業上場となる「Zomato(ゾマト)」が上場、初値は116ルピー(公募:72~76ルピー=107~113円)、株価はその後66%上昇して125ルピーを超え、時価総額は9,800億ルピー(1兆4,500億円)と時価総額でインド上位50社に入る好調なスタートを切った。
「Zomato」は2008年創業のレストラン検索、食品宅配サービスなどを行っている企業で、2020年1月にUber Eats(ウーバーイーツ)のインド事業を買収、現在インド国内526都市のレストラン、カフェ35万店舗を掲載し、13万2,769店舗のレストラン顧客に食品を宅配している。
上場目論見書によると、サービスの利用者は毎月平均4,150万人、同社プラットフォーム上で処理した注文件数は、2017〜18年の3,060万件から2019〜2020年には4億310万件に急増している。
インドにのベンチャーには電子決済サービス会社「Paytm(ペイティーエム)」、小売りの「フリップカート」、オンライン眼鏡販売の「レンズカート」、企業間ECの「Udaan(ウダーン)」、小口物流サービスの「Delhivery(デリーバリー)」、オンライン学習プラットフォームの「Unacademy(アンアカデミー)」など、注目される企業も多い。
■インドのユニコーン企業
「ユニコーン」と呼ばれる評価額が10億ドル(1,000万円)以上の未上場企業数で、インドは世界第4位といわれているが、ここ数年の政府による規制強化で、いままで上場された企業はなかった。
2月25日にソーシャルメディア、ストリーミングサービス、デジタルニュースなどに対して「違法、誤報、暴力的なコンテンツに対する削除要求を24時間以内に受け入れ、15日以内に完全に矯正することを求める」規制を発表したり、2018年に発表された「すべてのインドでの決済データを、インド国内のサーバーに保存することを決済企業に求める」という規制を遵守しなかったとして、今年に入り、American Express、Diners Club、Mastercardなどのクレジットカード会社の新規発行を無期限に禁止するなど、規制が強化されている。
去年11月にアリババのアント・グループが急遽上場中止を余儀なくされて以後、最近の配車サービス「DiDi(滴滴出行)」が上場直後にアプリを除外を命じられるなど、中国当局による締め付けが強化され、オンライン教育、ゲーム企業に対する規制も続き、海外に上場している中国IT企業の株価が暴落、グローバル投資家は中国企業からインドのハイテク企業に目を向け始めている。
インドのスタートアップは、2021年前半に新記録となる104億6,000万ドル(1兆1,490億円)の資金調達をしたが、2019年前半の54億ドル(5,930億円)、2020年前半の40億ドル(4,390億円)から大幅に増加している。
今後はインドIT企業に市場の注目が集まりそうだ。
======== DATA =========
●Zomato(ゾマト)
http://www.zomato.com/ncr
●ZOMATO株価
http://www.bloomberg.co.jp/quote/ZOMATO:IN
●Paytm(ペイティーエム)
https://paytm.com
●Flipkart(フリップカート)
https://www.flipkart.com
●Lenskart(レンズカート)
https://www.lenskart.com
●Udaan(ウダーン)
https://udaan.com
●Delhivery(デリーバリー)
https://www.delhivery.com
●Unacademy(アンアカデミー)
https://unacademy.com