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愛読者通信

「社長はおカネの損得を会社と社長の合算で考えよう!」
海生裕明氏(公認会計士)

「愛読者通信」著者インタビュー

 

 2021年1月に出版した『公私混合経営マニュアル』が好評で、多くの経営者に読まれています。そこで、著者の海生裕明氏に、なぜオーナー社長はおカネの損得を合算で考えるべきかのお話を伺いました。

海生裕明(かいお ひろあき)氏
「会社のおカネ」と「社長個人のおカネ」を合算しておカネの損得を考えることを提唱する、オーナー経営に精通した公認会計士。学習院大学経済学部卒業後、数種の仕事を経て、経営コンサルティング会社を設立。2006年、証券会社において株式公開引受及び投資銀行担当役員を経て、現在、中小企業等の経営を支援するため、電気代を実質ゼロ円にすべく、水素エンジン発電を開発中。1958年生まれ。
 著書に『公私混合 経営マニュアル』『連結バランスシート経営で会社を強くする』(共に日本経営合理化協会刊)など多数ある。

 

Q:『公私混合経営マニュアル』のタイトルは、一瞬、アレっと思うタイトルですが。

 本のまえがきにも書きましたが、アレっと思った人は、タイトルの「混合」を「混同」と読み間違えた人だと思います。読み間違えない人も、「混合」の意味がすぐにわからなかったかもしれません。
 なぜ、本書のタイトルに「公私混合」という言葉を使ったかといえば、オーナー社長の場合、会社の財産と社長個人の財産を合算してはじめて、つまり公私混合してはじめて、財産の本当の実態がわかるからです。

 

 

Q:会社のおカネと社長個人のおカネを合算して損得を考えるという発想はどこから出たのでしょうか?

 私の肩書は「公認会計士」となっていますが、実は20代の頃から自分で会社をつくって経営していますので、オーナー社長のメンタルはよく理解してます。
 創業当時は、それこそ、ほぼ全財産を会社につぎこみ、おカネについては常に会社と個人の合算で考えていました。というより、考えざるをえませんでした。
 とにかく、個々の中身よりも、会社と個人の合算がいい状態であれば安心できてましたね。これが合算で考えるきっかけとなりました。
 そして合算を経営に活かそうと思ったのは、指導先の社長と一緒に銀行に交渉に行ったとき、銀行の担当者の会話の中で、銀行側が社長と会社のバランスシートを合算してみていることが如実にわかったからです。
 それで、銀行以上に合算を経営に活用すべきだと思って、指導先の社長に話をして、社長個人のバランスシートを作成してもらい、会社と合算してもらいました。
 すると、いろいろな資金の問題が明らかになったんです。

 

Q:たとえば、合算することで、どのような問題が、明らかになるのでしょうか?

 いうまでもなく、使い勝手のいい資産は「現預金」です。
 何かあったときに、現金が手元になければ身動きができません。
 社長の個人口座と会社の口座に、それぞれいくらあるかは常に把握して、少しでも現金を増やしていく必要があります。
 いろんな社長のご相談を受けますと、会社の方に現預金がたくさんありすぎている場合と、その逆で、社長個人の現預金が多すぎて、会社が少なすぎる。つまり、アンバランスのケースがとても多いのす。
 社長の現預金と会社の現預金のバランスをどうするか? 
 これはオーナー社長にとって悩ましい問題ですが、この問題を社長と会社の現預金を合算したものを基本にして考えていこう、というのが私の主張です。
 今回出版した『公私混合経営マニュアル』では、会社の成長ステージの「創業期」「急成長期」「不安定成長期」「安定成長期」「成熟期」の5段階とプラス「異常時」を加えて、段階ごとに、社長と会社との現預金のバランスの取り方の基本指針を示しました。

 

不動産についても、会社で買うべきか、社長個人で買うべきか、迷われる社長が多いです。

 そうです。
 不動産も所有するにあたって、会社か自分か、で悩みます。
 ここでも現預金と同様、不動産の損得を、社長と会社を合算した金額の増減が判断の一つとなります。
 本書では、不動産を「事業用不動産」「収益用不動産」「社長の自宅」の3つに分けて、それぞれ社長と会社のどちらが所有したほうがいいかを解説します。
 また不動産については、「所有」ではなく「賃貸」という選択肢もあります。
 「法人税」と「所得税」の税率を考えなければならないので、少し複雑ですが、本書では、それらをわかりやすく整理して、基準を示しました。
 そのほか、社長が不動産管理会社をつくって不動産を取得し、会社に賃貸するケース、社長の自宅を会社所有にするケース、それと不動産を相続する場合の税金についても、基準となる考え方を解説してます。

 

会社の財産を守り、増やすために、現金経営の重要性も説かれています。

 おカネを増やしていく経営をするためには、「利益」と「現金」の違いを明確に理解しておかなければなりません。
 ひと口に「利益」といっても、会社処理の仕方によって増減し、「現金」の増減と一致しないからです。
 一方、「現金」は手に取って数えることができ、また誰が数えても同じという絶対的なものです。
 ですから、「利益」と「現金」の関係を意識する「現金経営」、いまふうに言えば、キャッシュフロー経営をしていくことが、会社におカネを確実に残していくために大切なことです。

 

Q:社長個人の財産の守り方・増やし方はどうお考えでしょうか? 

 社長の主たる収入は、会社からの報酬ですから、前提として、儲かる経営をすることが第一ですが、そのうえで、社長の財産を増やす一番の近道は、「会社からの報酬を上げること」と「会社以外から収入を得ること」の2つです。
 私自身もオーナー社長という立場で、同時に公認会計士という立場で客観的に社長の報酬を考えています。
 ですから、私が社長から妥当な報酬額を聞かれた場合は、社長が報酬を取っても資金が不足にならず、かつ利益を上げることができることを前提に、報酬額の目安を示しました。
 そして、会社以外から収入を得る場合ですが、社長の性格によって、株式投資が好きな人、不動産投資が好きな人、さまざまです。
 ただ私の手痛い失敗談をふまえて、会社以外から収入の得る場合の条件を示しました。

 

Q:ところで、社長個人の財産は極秘情報ですので、会社の経理担当者に頼みにくいと思います。なので、社長一人でバランスシートを作成したり、さらに会社のバランスシートと合算する作業をするのは難しいのでは?

 8年前に出版しました『連結バランスシート経営で会社を強くする』
で合算のやり方を解説したのですが、難しいというお声をたくさんいただいたので、今回の本では、マニュアル化して、それこそ会計の「貸方」「借方」などの専門用語は一切使わず、マニュアルの手順に従って記入していけば、誰でも個人のバランスシートを作成できて、会社と合算できるように工夫しました。また使用するエクセルシートは特典としてダウンロードできますので、ご心配なく。

(聞き手:岡田万里)

「愛読者通信」(2021年7月)掲載

【経営合理化協会・関連YouTube動画】
海生裕明氏 『公私混合経営マニュアル』
著者が新刊について話しているYouTube ↓
【蓄財】会社にも社長にもおカネが残る「公私混合」経営マニュアル
https://youtu.be/7eiqZEw9ry0

 

 

 

 

 

 

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