昨年10月にApple(アップル)が発売したiPhone14は、緊急SOSに衛星通信が利用できるようになり、海上や山間部など、地上の基地局の電波やWi-Fiが届かないところでも緊急通報サービスにテキストを発信できる機能が搭載された。
iPhone14の衛星SOSサービスは、低軌道衛星(LEO)を多数組み合わせた「LEOコンステレーション」を使って衛星電話などを提供しているGlobalstarと提携したもので、5Gのn53(2.4GHz帯)の電波を使って行なわれる。
利用の場合は、iPhoneの質問に答えることで事故や病気など利用者の状況を判断、その後空への視界が開けて衛星通信が可能な方向にiPhoneを向け、テキストメッセージでSOSを発するというもので、空への視界が開け水平線が見えるような理想的な条件下で15秒ほど、木の下では1分以上かかる場合もあるが、自動でメッセージが送信され、これをアップルのコンタクトセンターが受け取ってスタッフが救助を呼ぶという仕組だ。
2019年から衛星通信に取り組んできたアップルが衛星SOSサービスをiPhoneに搭載したことで、今後はスマートフォンによる衛星通信競争が加速すると考えられる。
■スマートフォン衛星通信
スマートフォンの衛星を使っったサービスは、Google(グーグル)がモバイルOS「Android」の次期バージョンで衛星通信に対応すると昨年9月に発表、華為技術(ファーウェイ)も、新スマートフォン「HUAWEI Mate50」の中国向けモデルで衛星通信によるメッセージなどの送信ができる機能の搭載を打ち出している。
また、今年1月に米ラスベガスで行われた「CES」では、米通信会社Qualcomm(クアルコム)が通信衛星を使った双方向メッセージ送信をサポートする「Snapdragon Satellite(スナップドラゴン・サテライト)」というシステムを発表、米Iridium Communications(イリジウムコミュニケーションズ)の通信衛星群と連携してメッセージや緊急時サービスの利用を可能にするとしている。
スマートフォンにSnapdragon Satelliteを搭載すると、当初は緊急メッセージ、その後はLINEなどテキストメッセージも使えるようになるという。
ウクライナに衛星インターネットサービス「Starlink(スターリング)」を提供しているイーロン・マスク氏の宇宙事業会社・米SpaceX(スペースX)も、米通信会社・TモバイルUSと提携して低軌道衛星群を利用したスマホ通信に乗り出すとしており、今年は衛星を利用したスマートフォンサービスが進展する年となりそうだ。
======== DATA =========
●iPhone 14 で衛星経由の緊急 SOS を使う
https://support.apple.com/ja-jp/HT213426
●Qualcomm社のニュースリリース
http://www.qualcomm.com/news/releases/2023/01/qualcomm-introduces-snapdragon-satellite–the-world-s-first-sate
●Starlink
http://www.starlink-au.jp