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経済・株式・資産

第88回「企業の将来性はESG?」

会社と社長のための資産管理講座

NISA(少額投資非課税制度)に続き、4月からジュニアNISAが始まり、さらに来年1月からはDCプラン(確定拠出型年金)に専業主婦や公務員が加入できるようになる。まさに『1億総投資家時代』と言える非課税投資の環境が整うことになる。
 
一方で、公募株式投信は5,000種類以上が販売され、東証一部上場企業だけでも1,900社を超える。NISAやDCプランで投資銘柄を絞り込むことは簡単ではない。また、悩んで選んだ企業も、大規模リコールや不正経理問題が原因で存亡の危機に立つこともある。現下の激しい環境変化に順応して、成長を持続する有望企業を選ぶことは本当に難しい。
 
財産形成は将来を見据えた中長期投資だから、現在の躍進企業でも中長期的な成長性が重要なことは言うまでもない。かつてのトップブランド企業が、30年も経つと外資に買収されているケースも少なくない。日本経済もグローバル化やダイバーシティ化が進み、企業の将来性を判断することは、経験豊富な経営者にとっても難題だろう。
 
企業の社会的責任が注目されて以来、CO2削減など環境にやさしい活動、生物多様性や持続可能性を重視した活動に積極的に取組む企業が増えた。昨年、アベノミクスの成長戦略に関連して、上場企業が守るべき行動規範を定めた「コーポレートガバナンス・コード」が発表された。M&Aや設備投資の促進により日本企業の国際競争力と成長性が高まるとの期待が外国人投資家に評価されて、多くの企業がこの規範を導入している。
 
また、年金基金など機関投資家が、「投資と対話を通じた株主行動により、委託者の利益を増進すると共に企業の長期的成長を促進し社会全体に寄与する」ためのガイドライン『日本版スチュワードシップ・コード』を受け入れる機関投資家数も増加している。投資判断のプロセスで、「投資候補先企業の経営が、ESG(環境Environment、社会Social、ガバナンスGovernanceの頭文字)に十分配慮されているか」が問われる。
 
このような個別企業の社会貢献活動の状況について、専門家が分析した分かりやすい銘柄選択の方法がある。例えば、アベノミクス・一億総活躍社会の実現に重要な女性の社会進出を応援する企業を選んだ「なでしこ銘柄」が発表され、女性活躍をテーマにした投資信託である「なでしこファンド」も注目されている。なでしこ銘柄は東証一部上場企業から、経済産業省と東証が共同で選定し、選出企業は多様な人材を活かすマネジメント能力、環境変化への適応力と成長性のある企業と考えることができるだろう。
 
JPX日経インデックス400という株価指数は、2014年1月から算出を開始。その構成銘柄は、資本の効率的活用や投資家を意識した経営上の観点など、「グローバルな投資基準の諸要素を満たした投資魅力の高い会社」と紹介されている。これら400銘柄を参考に個別株を検討し、または、ズバリこの指数に連動する投資信託を選べば、世界の投資家が注目するESGを重視した企業を選択できるのではないだろうか。
 
株式も株式投信も膨大な種類があるが、事業を通じた社会貢献だけでなく、積極的に持続可能な社会をつくるためにどんな役割を果たしているか、という視点から選ばれる企業は、国境を越えて将来も必要とされる企業であり続ける可能性が高いと思われる。
 
                                      以上
 

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