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採用・法律

第81回 景品表示法で規制される「おとり広告に関する表示」とは?

中小企業の新たな法律リスク

 地方都市で、老舗ケーキ店3店舗を営む黒沢社長が、ある行政処分のニュース報道を見て、賛多弁護士のところへ相談にきました。

* * *

黒沢社長:ニュースで知ったのですが、大手回転寿司チェーンで、目玉商品を大々的に広告しておきながら、実はその目玉商品が9割以上の店舗で1日以上提供されていなかったとか、そもそも目玉商品が用意されていなかったとかいう事実があり、消費者庁から処分されたそうですね。

賛多弁護士:はい、そうです。その回転寿司チェーンの運営会社は、不当景品類及び不当表示防止法(以下「景品表示法」といいます。)で禁止されている「おとり広告に関する表示」に該当する不当な表示を行っていたので、消費者庁から措置命令を受けました(注1)。

黒沢社長:その、景品表示法の「おとり広告に関する表示」について、教えて頂けますか。
うちも、目玉商品を期間限定で売り出すことがあり、その際にはチラシやポスターなどの広告を打ちますので、他人事ではありません。

賛多弁護士:そうですよね。商品又はサービスを提供する事業者にとって、景品表示法の正しい理解は欠かせません。
まず、景品表示法では、商品又はサービスの取引に関して行われる「不当表示」を規制しています。

黒沢社長:不当表示とは、どのような表示ですか。

賛多弁護士:不当表示には、大きく分けて3つの種類があります。
品質、規格、その他の内容について著しく優良であると誤認される表示である「優良誤認表示」(景品表示法5条第1号)、
価格や取引条件に関して、著しく有利であると誤認される表示である「有利誤認表示」(景品表示法5条第2号)、
一般消費者に誤認されるおそれがあるとして内閣総理大臣が特に指定(告示)した表示である「その他 誤認されるおそれのある表示」
の3種類です。
「おとり広告に関する表示」は、3種類目の「その他 誤認されるおそれのある表示」として、不当表示に指定されています。

黒沢社長:なるほど、「おとり広告に関する表示」は、優良誤認表示や有利誤認表示には当たらないが、一般消費者に誤認される恐れがある表示として、特に指定されているということですね。

賛多弁護士: さすが、社長、飲み込みが早いですね。
「おとり広告に関する表示」では、一般消費者を誘引する手段として行う以下の表示を不当表示として禁止しています(注2)。

(1) 取引を行うための準備がなされていないなど取引に応じることができない場合のその商品又はサービスについての表示
(2) 商品又はサービスの供給量が著しく限定されているにもかかわらず、その旨を明示していない表示
(3) 商品又はサービスの供給期間、供給の相手方又は顧客一人当たりの供給量が限定されているにもかかわらず、その旨を明示していない表示
(4) 取引の成立を妨げる行為が行われるなど実際には取引する意思がない商品又はサービスについての表示
 
黒沢社長:ふむふむ。大雑把なイメージとしては、実際には商品又はサービスが購入できないにもかかわらず、購入できるかのような表示をすることが問題とされているのですね。

賛多弁護士:仰るとおりです。そして、具体的に、景品表示法上の不当表示として禁止されるのが、先述した、(1)~(4)に該当する表示となります。

黒沢社長:だんだん分かってきましたよ。
うちは3店舗あって、店舗ごとに目玉商品を用意できる数が違うのですが、チラシは全店舗共通で、各店舗ごとの販売数を明記できない場合は、どうすれば適法なのでしょうか。

賛多弁護士:「おとり広告に関する表示」等の運用基準(注3)という通達がありまして、その通達では、当該チラシに記載された全店舗での総販売数に併せて、店舗により販売数が異なる旨と、全店舗のうち最も販売数が少ない店舗での販売数を表示する必要がある、とされています。

黒沢社長:おお、そのような細かい決まりがあったのですね。今まで意識したことが無かったな。
今回のニュースを他山の石として、うちのチラシやポスターといった広告について、見直してみますよ。

賛多弁護士: そうですね。景品表示法は、「不当表示の禁止」のほかに、「過大な景品類の提供の禁止」を規定しています。
よろしければ、私が講師として、御社の役員や広告担当者に研修を行い、景品表示法の考え方の周知・啓発しましょうか。

黒沢社長:それは名案だ。大変助かります。
ぜひお願いいたします。

* *

 景品表示法では、事業者が、景品表示法に違反することがないよう、景品類の提供及び表示に関する事項を適正に管理するために講ずべき措置を講じなければならないと規定しています(同法26条1項)。
 また、同法26条2項に基づき、「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」(平成26年11月14日内閣府告示第276号)も規定されています。
これらを参考に、今回の報道を機に、自社の景品類の提供や表示に関する事項を見直されてはいかがでしょうか。
以上


(注1) 消費者庁「株式会社あきんどスシローに対する景品表示法に基づく措置命令について」(令和4年6月9日)
https://www.caa.go.jp/notice/entry/029023/

(注2)「「おとり広告に関する表示」(平成5年公正取引委員会告示第17号)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/public_notice/pdf/100121premiums_17.pdf

(注3)「「『おとり広告に関する表示』等の運用基準」(平成5年公正取引委員会事務局長通達第6号)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/pdf/100121premiums_31.pdf

執筆:鳥飼総合法律事務所 弁護士 木元 有香

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