企業再生のために利用できる税制というものがあります。そのほとんどが本来課税されるべき利益を、そうでないものとして認めるというものです。
法人が銀行から債権放棄を受ければ、債務免除益という利益が発生します。
単純に書けば、欠損金が繰越控除を含めて1億円の会社で、1億円以上の債権放棄を受ければ黒字会社となり法人税が発生してしまうとかです。
これは 営業上の利益が発生しているわけでなく、負債勘定が減ることで相対的に資産が増えて利益の発生となるものです。
このことによって企業再生は逆に困難な局面になるわけです。
そこで、一定の要件を満たせば法人税の計算上で例外が認められることとなります。
この制度は平成28年3月までの期限付きでしたが、3年間延長されました。
じつは、昨年はこれ以外にも企業再生に関する税制の改正がありました。
そのなかでも、 納税義務の拡張で 第二次納税義務等の見直しというものがあげられます。
そして、これは再生企業の資産に関するとても大事な事柄なのです。
そこで、今回は「第二次納税義務」について書いてみます。
第二次納税義務とは、納税義務者に税の滞納処分を執行しても不足の場合、その納税義務者と一定の関係がある者に対しても納税義務を拡張する制度です。つまり、税金を滞納している破たん会社の事業を第二会社で譲り受けた場合に、第二次納税義務者の要件があてはまればその納税義務も受け継がれるということなのです。
企業の再生で第二会社は一般的ですが、近年とくに課税がらみでその作り方には勉強が必要になりつつあります。
これらの制度は勉強してうまく使えばいいのですが、そうでない場合は第二会社も税金で 破たんするということもありえるからです。
銀行借入などの債務はそれほど怖いものではないのですが、税金や社会保険等の債務が延滞した場合、早めに対応するのはもちろんのこと、しっかりと勉強して対応しないとたいへんなことになるのです。
下記参考:国税庁ホームページより
(基本的な考え方)
1 第二次納税義務の制度は、納税者の財産につき滞納処分を執行してもなお徴収すべき国税に不足すると認められる場合において、一定の要件を満たす特定の第三者に対して補充的に納税義務を負わせることにより、国税の徴収確保及び徴収手続の合理化を図るために認められている制度である。この制度を第二次納税義務者となるべき者からみれば、自己以外の者の国税についての納税義務を負うこととなり、事実上及び法律上重大な関係を生ずることとなる。したがって、この制度が有する特殊性に鑑み、第二次納税義務を負わせるに当たっては、特に次に掲げる点について周密な調査を実施し、違法又は不当にわたらないよう厳正を期さなければならない。
(1)第二次納税義務の成立要件についての事実関係及び徴収不足であるかどうかの判定
(2)第二次納税義務を負うべき者であることの認定
(3)第二次納税義務の限度の判定