「さあ、宇宙旅行に参加して、宇宙人になろう!」
などと言うと、不景気な話ばかりの日本では、
「大丈夫?」と聞かれるか、「鳩山元総理の話?」と言われそうだが、
事実、2012年(遅くとも2013年)は、民間人による≪宇宙旅行時代≫の幕開けの年となるのだ。
世界的な起業家として知られるリチャード・ブランソン会長率いる
ヴァージングループのヴァージンギャラクティック社が
世界で初めて提供する民間宇宙旅行が秒読み段階に入っている。
ヴァージングループ リチャード・ブランソン会長
「ウソだ!?」と思う人は、まずは、こちらをご覧あれ!
http://www.youtube.com/watch?v=pZ4LKZr4Iks
http://www.youtube.com/watch?v=6gnAzgH_l90
ヴァージンギャラクティック社ホームページ⇒ http://www.virgingalactic.com/
◆宇宙旅行は、もはやSFではない!
今まで、宇宙旅行と言えば、SFの世界の話でしかなかった。
あるいは、知力・体力ともに人並み外れて優秀で、さらに特別な教育と訓練を受けた研究者だけが、
アメリカのNASAを通じて宇宙飛行士として派遣されるもので、一般人とは縁遠いものだった。
ところが、1968年に、スタンリー・キューブリックとアーサー・C・クラークが、
映画『2001年宇宙の旅』(2001: A Space Odyssey)で予言したが如く、
21世紀に入って、民間人の宇宙旅行者が登場し出した。
映画「2001年宇宙の旅」
2001年、純粋な民間人が、初めて、全額自己負担で宇宙旅行を体験した。
アメリカの大富豪、デニス・チトー氏が、アメリカのスペースアドベンチャーズ社が
ロシア宇宙局と契約して提供したものだ。
2001年4月28日、ソユーズの人員と物資を補給する定期便でロシアから旅立ち、
国際宇宙ステーション(ISS)に5月6日まで滞在した。
その後、世界的に有名なエンターテイメント集団の「シルク・ドゥ・ソレイユ」の創設者、
ギー・ラリベルテ氏をはじめ、ロシアのソユーズに乗って、今までに7人の民間人が宇宙旅行者となった。
しかし、費用は10日間で1人約25億円もかかった。
ところが、ヴァージンギャラクティック社は、約2時間の宇宙体験ツアーではあるが、
1人20万ドル(約1500万円)で宇宙旅行者の募集を開始したのだ。
既に約500人が代金を支払い、宇宙旅行への旅立ちの日を心待ちにしている。
さらに仮予約者は世界中で約5万人にものぼる。
飛行は弾道飛行で、大気圏と宇宙の境界とされる地上100kmを若干超える高さにまで到達する。
完全な無重力状態になる時間は4分間ほどの予定だ。
将来的には軌道上を周回する宇宙機の投入も計画中である。
1960年代から現在に至るまで、地上100km以上の高さの宇宙に到達した人類は450人ほどしかいない。
当然、そのほとんどが宇宙飛行士だ。
ところが同社は、宇宙時代が始まって約50年間の累計を
毎年超える数の旅行者を宇宙空間に送り込もうとしているのである。
ヴァージン宇宙旅行スペースシップ船内宇宙遊泳イメージ図
既に、2011年5月4日以来、テスト飛行にも度々成功しているのだ。
http://spacetour001.clublog.jp/
http://response.jp/article/2011/05/05/155869.html
http://jp.wsj.com/Life-Style/node_133504
◆日本にも宇宙旅行時代が到来する?!
日本でも、クラブツーリズムがヴァージンギャラクティック社と提携し、宇宙旅行の取り扱いを開始している。
http://www.club-t.com/space/main.htm
写真提供:ヴァージンギャラクティック社 協力:クラブツーリズム
日本からも、男性10名、女性6名の計16名が参加を表明している。
そのうち9名が企業経営者だという。
世界で最初の宇宙旅行者100人は「ファウンダー」(創設者)と呼ばれるのだが、
16名の中の2名が世界初の民間宇宙旅行船の乗船名簿に名を連ねることが決まっている。
平均年齢は約62歳。最高年齢は81歳の東京都在住の無職の女性で、世界各国の参加希望女性で最高齢とのこと。
ちなみに男性の最高齢は、御年91歳の、ガイヤ理論で著名なイギリスのジェームス・ラブロック博士だ。
また、国別の参加者の大まかな割合は、アメリカ40%、イギリス約17%、ロシア5%、オーストラリア4%、
日本4%、スペイン4%、カナダ3%で、その他23カ国から参加する予定である。(2008年時点公表数値)
「ウルトラマン」シリーズや「宇宙戦艦ヤマト」、「機動戦士ガンダム」などを見て
夢ふくらませた宇宙への旅が、今、現実のものとなろうとしているのだ。
「ベンチャースピリットを忘れるな!」と説く経営者ならば、まっさきに宇宙旅行を体験しようと思うに違いない。
◆宇宙の伝道師一家『宇宙家族ヤマザキ』
実は、今回、宇宙について目を開かせてくれたのは、“宇宙主夫”として知られる山崎大地さんだった。
写真右:宇宙家族山崎
写真左:山崎大地さん(左)と筆者
セレブの街、横浜市青葉区あざみ野のタウン誌「あざみ野スタイル」
(http://azaminostyle.jp/)で、対談させていただいたのがきっかけだ。
山崎大地さんは、東海大学工学部航空宇宙学科卒業後、三菱スペースウェアに入社。
国際宇宙ステーション運用管制官として、日本初の有人宇宙実験棟「きぼう」の運用準備に従事した。
2000年に、山崎直子さんと結婚。
その10年後の2010年4月、山崎直子さんは日本人初のママさん宇宙飛行士として
スペースシャトル・ディスカバリー号に搭乗した。
大地さんは、直子さんをサポートする傍ら、
家事や愛娘の育児、両親の介護、そして自身の仕事に奔走した。
現在は、国際宇宙サービス代表取締役社長を務めている。
当時小学校2年生だった長女の優希ちゃんと家族3人の生活をつづった
『宇宙家族ヤマザキ』(祥伝社刊)は大ベストセラーとなった。
宇宙からi-Phoneで家族に愛を伝えた実話は、この夏、舞台でも上演される。
今や山崎家は、日本における“宇宙の伝道師一家”だ。
◆日本国内で無重力状態が体験できる?!
大地さんの話で、まず驚いたのは、
愛知県営名古屋空港(愛知県西春日井郡豊山町)から飛び立つ飛行機で、
無重力状態が体験できるということだ。
中田英寿さんが、「コカ・コーラ ゼロ」のテレビCMで、
『Zero Gravity』(無重力)での体験を披露していたが、
それが、誰でも体験できるのである。
メイキングムービー:http://www.youtube.com/watch?v=NRTYOcQYtt4&feature=related
財団法人日本宇宙フォーラム(JSF)が窓口となって、ダイヤモンドエアサービス株式会社(DAS)が実施する
航空機の放物線飛行(パラボリックフライト)によって作られる無重力簡易実験に参加できるのだ。
http://www.jsforum.or.jp/other/zerog.html
無重力体験
個人で参加する場合は、年に2回程度、一般人を対象に実験の機会を設けている。
実施時期は決まり次第ホームページでアップされる。
団体で航空機を貸切で利用して参加する場合は、
乗客の予定と航空機の空き状況に合わせて時期はフレキシブルに設定できる。
対象年齢は10歳~70歳。20歳未満は保護者の承諾が必要で、66~70歳は航空身体検査の受検が必要だ。
料金は、4人乗りが、1名307,000円(消費税込)、貸切料金は1,228,000円(消費税込)。
7人乗りが、1名407,000円(消費税込)、貸切料金は2,849,000円(消費税込)。
料金には、搭乗証明書、飛行服、DVD等の記念品、軽食が含まれる。
宇宙旅行を目指すなら、まずは国内で無重力体験をしてみよう!
◆「宇宙ビジネス」の可能性は宇宙のように無限大!
宇宙旅行は、あらゆる人間の営みを根本的に変える可能性を秘めている。
山崎大地さんは学生時代から「無重力状態でハネムーン」が夢だったそうだが、
宇宙旅行を予約している人の中でも、「宇宙でやってみたいこと」の人気NO.1がウエディングだとのこと。
5年もしない内に、有名人の「宇宙婚」の衛星中継がテレビで見られるに違いない。
また、宇宙は人類をして、スポーツや文化にも新たな境地を切り拓かせることになる。
ハリーポッターばりの「宇宙スポーツ」や「宇宙バレエ」「宇宙歌舞伎」など考えるだけでも楽しい。
2011年10月17日、アメリカのニューメキシコ州に「スペースポート」(宇宙港)が落成したが、
現在、ハワイやシンガポール、ドバイなどでも建設が進んでいる。
世界初の商業宇宙港「スペースポート・アメリカ」(米国ニューメキシコ州)
一度、宇宙船で高度100km以上の宇宙空間に飛び出せば、
世界中どこへでも約2時間で行くことが可能になる。
蒸気船や鉄道や道路が、そして、新幹線や高速道路や飛行機が、
人類の距離と時間の概念を根本的に変えたように、
宇宙旅行は、あらゆるビジネスの概念を変えるに違いない。
宇宙の視点から考えれば、人間の発想も重力から解き放たれる。
「宇宙ビジネス」の可能性は宇宙のように無限大だ!