本給月額表とは責任等級ごとに作られた賃金表の集合であり、それぞれの賃金表にはスタート金額つまり各等級の初号値が表示され、号差金額(昇給1号の金額)が定められています。本給初号値にこの号差金額を順次加算することで本給月額表の仕組みが出来上がります。
そして基本昇給ゾーンでの年ごとの昇給号数は評語S=6号、A=5号、B=4号、C=3号 D=2号であり、等級ごとに定める号差金額は下位等級から順に1.25倍に設定します。
そこで今回は優秀社員の在等級年数をⅠ等級から順に5年5年5年6年6年と定め、同時にⅠ等級初号値(自社の最低賃金)を153,200円とし、Ⅰ等級の号差金額(昇給1号の金額)を1280円と定めているⅥ等級構成の大都市中位水準の企業を例に運用の話を進めます。
●Ⅰ等級初号=153,200円で入社した最年少新人の初昇給は4号分(1280円×4)と定めますが、きわめて優秀と評価される社員は翌年から1280円×5号昇給となります。この優秀(Aモデル)社員が昇給を重ね、Ⅱ等級に昇格するまでの年数がⅠ等級(初級職)在等級年数であり、この在等級年数を5年と定めれば、優秀社員は20歳でⅠ等級25号(183,920円)に昇給し、直近上位金額表示のⅡ等級初号=184,000円に昇格します。
●Ⅱ等級(中級職)の在等級年数も5年とします。Ⅱ等級の号差金額1600円はⅠ等級1280円の1.25倍ですから、優秀者の昇給(評語A=5号)は8000円となります。優秀(Aモデル)社員は25歳でⅡ等級26号(224,000円)に昇給し、同額表示のⅢ等級初号=224,000円に昇格します。
●Ⅲ等級(上級職)の在等級年数も5年、号差金額は2000円(Ⅱ等級の1.25倍)です。優秀(Aモデル)社員は30歳でⅢ等級26号(274,000円)となり、Ⅳ等級初号=274,000円に昇格します。
●Ⅳ等級(監督職)の在等級年数は6年と定めます。号差金額は2500円ですから、Aモデル社員は36歳でⅣ等級31号(349,000円)に昇給し、Ⅴ等級初号=349,000円に昇格します。
●Ⅴ等級初号、36歳の新米課長の誕生です。在等級6年、Aモデル実力課長は42歳でⅤ等級31号(442,900円)に昇給し、Ⅵ等級初号=442,900円に昇格します。誰もが認める実力部長ですから仕事力を発揮し、やがて役員に登用されます。このオールAモデル社員が昇格昇進を重ね、経営者となるまでの道程が本給月額表の仕組そのものであり、責任等級制=真の能力主義の由来なのです。
なお、実在社員は相当優秀であっても評語Aを採ったりBだったり、時にSと評価されたりします。そんな実在者の昇格昇進の場合も登用ルールは同じです。昇給後の号数(本給額)を確認し、同額が表示されている上位等級の号数に昇格昇進する手順自体はまったく変わりません。
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