最近「メタバース(metaverse)」という言葉をよく耳にするようになったが、これは昨年10月に、世界最大のSNSであるフェイスブック(Facebook)が「メタ・プラットフォームズ(Meta)」に社名変更したことがきっかけで、マーク・ザッカーバーグCEOは、「我々が何者であるか、何を構築したいかを反映するために、当社はMetaになった」と述べた。
新しい社名は、次のプラットフォーム(デジタルビジネスの共通基盤)として期待されるメタバースにおいて、メタ(フェイスブック)が圧倒的な存在になる可能性を感じさせ、マイクロソフト、YouTube(グーグル)、ディズニー、ナイキ、アディダス、エヌビディア、BMW、テンセント、パナソニックなどが相次いで参入を表明している。
■「メタバース」とは
メタバースは「メタ(meta=超越した)」と「ユニバース(universe=宇宙)」を組み合わせた造語で、現実世界とは別のアバターという分身の姿で行動できるインターネット上の仮想空間とされ、2003年に世界で注目を集めた「セカンドライフ」などが有名だが、最近では「VR(ヴァーチャル・リアリティ)ゴーグルを使って分身のアバター姿で自由に行動できる仮想空間」というイメージを持つ人が多い。
ゲームでは既に世界で3億5,000万人以上が参加する「フォートナイト(Fortnite)」(エピックゲームズ)があるし、2020年に大人気となった任天堂の「あつまれ どうぶつの森」も仮想空間上に多くの人が集まる「メタバース」といえる。
IT調査会社の「ガートナージャパン」は、2月9日に「メタバースに関する展望」を発表、現在のメタバースへの過剰な期待がビジネスのデジタル化を促進し、2026年までに人々の25%は、仕事、ショッピング、教育、ソーシャル、エンターテインメントなどで1日1時間以上をメタバースで過ごすようになると予測している。
■デジタル・ファッションショー
パリで注目される日本人デザイナー森永邦彦氏の「アンリアレイジ(ANREALAGE)」の2022年春夏コレクションは、アニメ映画「竜とそばかすの姫」(細田守監督)の中のメタバースで幕を開け、デジタルの2次元と実際のモデルが洋服を着て歩く3次元が融合した画期的なものだった。
アニメの中で主人公も着ている服は、ヴァーチャルな1点ものとしてNFT(Non-Fungible Token=非代替性トークン)として実物の洋服と共に販売され完売している。
総額5,000万円で11点を落札した日本初のNFT美術館 「NFT鳴門美術館」では、今年春に作品を公開する予定で、渋谷パルコでは3月31日までポップアップストアで実物の洋服が展示され、設置されているゴーグルを使いアニメに登場したメタバース空間も体験できる。
2021年10〜12月期決算で、メタバース部門が102億ドルの赤字と発表されメタ株が暴落、ゴーグルを装着する必要があることや、「セカンドライフ」が発展しなかったことなどからメタバースに対して否定的な感想を持つ人も多いが、メタバースをゴーグルを使ったVRやデジタル仮想空間と限定せず、「現実とデジタル化されたものが表裏一体につかがったもの」と捉えると、インターネット、クラウドなどのように今後は普通に使っていくものになると考えている。
======== DATA =========
●メタ・プラットフォームズ(Meta)
https://www.facebook.com
●セカンドライフ
https://secondlife.com
●フォートナイト
https://www.epicgames.com/fortnite/ja/
●あつまれ どうぶつの森
https://www.nintendo.co.jp/switch/acbaa/
●Gartnerメタバースに関する展望を発表
http://www.gartner.co.jp/ja/newsroom/press-releases/pr-20220209
●アンリアレイジ(ANREALAGE)
http://nft.anrealage.com
●NFT鳴門美術館
http://nftjp.org