今回は本コラムの100回記念号です。
賛多弁護士が、旧知の仲の小林社長と久しぶりにゆっくり話をしています。
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賛多弁護士:小林社長、最近、元気がないですね。業績が悪いわけでもなさそうなので、体調がよくないのですか?
小林社長:賛多弁護士、分かりますか?体調は悪くはないですし、当社の業績も悪くはないのです。ただ、当社の将来の成長を担える業務が見つからない。それが悩みの種になっているのです。
賛多弁護士:そうなのですか。現状に満足しないで、将来の成長を期待できる業務を見つけようとしていることは、未来思考で、それ自体は大いに価値のあることですよ。社長は、上杉鷹山公を知っておられますか?
小林社長:もちろん、知っています。確か、ケネディ大統領が、最も尊敬していた人物だと聞いたことがあります。
賛多弁護士:そうですね。ケネディ大統領が、上杉鷹山公を最も尊敬できる日本人として賞賛したのは有名な話ですね。その上杉鷹山公の発想法によれば、社長が、将来の業務は何か、と考えること自体、価値があるようです。
小林社長:考えるだけで価値があるのですか?
賛多弁護士:そのとおりです。鷹山公の発想法では、「考え5両」となります。会社にとって将来成長する業務は何か、と考えること自体に、5両という価値があるというのです。ただ、小林社長の考えにはそれだけの価値があるのに、考えの答えが見つからないという否定的な考え方になっていることで、「考え5両」という価値を捨てたことにもなっています。実に、もったいないことですね。
小林社長:私の発想の仕方次第で、5両の価値をゼロか、むしろ、マイナスにしているということですね。
賛多弁護士:そうです。上杉鷹山公の発想は、経営者にとって、とても重要なヒントを与えてくれます。ケネディ大統領は大統領の就任演説の最後に、上杉鷹山公の言葉を活用し、米国の国民を鼓舞し、米国を苦境から救ったと言われています。
小林社長:ケネディ大統領は、どんな言葉で、国民を鼓舞したのですか?
賛多弁護士:「国家が諸君のために何ができるかを問わないで欲しい。諸君が国家のために何ができるのかを問うて欲しい」
これは、国民が無欲の気持ちで国家のために何ができるかを考える、それを引き出そうとする、その点が鷹山公の「無欲 万両」に当たるものになります。
小林社長:「無欲 万両」とは凄いことですね。国家を苦境から救うという力にもなるのですね。
賛多弁護士:そうです。人間の心の持ち方次第で、成果の大きさが異なるという発想が素晴らしいですね。
小林社長:心の持ち方次第で、成果の大きさが異なる、という鷹山公の発想法を、もっと知りたくなりました。
賛多弁護士:では詳しく申し上げましょう。
「人知り、知恵借りで、5倍の稼ぎになる。コツを借りるで、10倍の働きになる。
ひらめきを生み出す教育・部門などで、100倍の成果になる。
歴史から学ぶ(例:和魂洋才)で、500倍成長する。
成長が期待できない業務を中止して(見切り)、1000倍の価値。
無欲、万倍(タイレノール事件・・・社会から尊敬を受ける)。」
小林社長:最後の「無欲 万倍」の発想法が、ケネディ大統領の就任演説だったのですね。
賛多弁護士:そのとおりです。上杉鷹山公の実践から生まれた発想法ですから、極めて実用性が高いものです。小林社長も、是非、参考にして、会社を大いに成長させてください。
小林社長:社長である私の考え方次第で、当社の未来の成長度が決まるという発想が分かりました。賛多弁護士、大いに勉強になりました。というより、元気をもらえた気がします。本当にありがとうございました。
執筆:鳥飼総合法律事務所 弁護士 鳥飼重和