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173軒目 「すし遊館 @岡山県倉敷市 ~シャリに木村式自然栽培倍米のあさひ米と生本マグロをウリにするユニークな回転寿司」

大久保一彦の“流行る”お店の仕組みづくり

 2023年は「暴走するお客様」が話題になった回転寿司業界です。気軽に誰でも受け入れる店は市場性があり良いのですが、考えさせられる事件でありました。

 

 『活種鮮寿』というユニークな寿司店を経営する友人の福瀬智広さんから自店のFC化の相談をしたいということで岡山を訪問することになりました。福瀬さんですが、起業前は修行して、立ちの寿司店で勤務したあと、回転寿司で勤めていました。当時、回転寿司は100円回転寿司が拡大期で、福瀬さんの回転寿司も100円均一になりました。

 

 業態転換すると客層が荒れ出し、どんどん雰囲気が悪くなってゆき福瀬さんのモチベーションが下がってゆきました。そんな時に福瀬さんはお客様に「あんたちゃんと修行したんだろ。ちゃんと修行した人がこんな店で働くとは恐ろしい時代になった」と言われました。

 

 福瀬さんはこの言葉をきっかけに独立を決意し、店舗展開を視野に『活種鮮寿』というユニークな寿司店を考えました。

 

 福瀬さんから相談がある少し前に、YouTubeで藤原直哉さんの「​自然栽培ムーブメントの輪を広げていく​」という番組を見ておりました。今後の飲食店と生産者の関わりで参考になる講義でした。これからの日本は、急激な人口減少の影響で量から質への転換がすすみ、人々はクオリティに気を使うようになりどんどん良いものへ移行してゆきます。食で良いものとは、消費者にとっては食べることによって健康になれるもの、生産者にとっては、持続可能な生産ができること。この条件を満たすのが自然栽培で、安全な食の提供が世界共通の課題であり、安全な食の提供はいよいよ普及の時代に入ります。

 

 この安全な食を横に広げて世界を変えようと、活動しているのがこのYouTubeの番組で紹介されています「NPO法人岡山県木村式自然栽培実行委員会」でした。

 

 理事長の髙橋啓一さんは回転寿司を経営しているということで、今回、福瀬さんに『すし遊館 』へ行きませんか、とお誘いしたところ、福瀬さんは、『すし遊館 』の店舗を下見、チェックしていただいて、のの中でもマグロのユニークなメニューをやっているということで『新倉敷店』まで行くことになりました。

 

 「NPO法人岡山県木村式自然栽培実行委員会」は岡山で自然栽培米を会員制で販売をしていて、現在25億くらいの規模となっているそうです。JAも参加して従来のお米の販売から自然米の販売に移行しているそうです。

 

 まずは、福瀬さんを誘いたくなった高橋理事長のビデオでの説明を抜粋しましょう。

・自然栽培は根の量が違い、6から7倍あると思うとのことです。細かい根がミネラルを吸って、生命力がある米にするのだと思います。(良樹細根)

・自然栽培だと田んぼの水の落ちた籾にカビが生えないそうで、生命力があるとのことです。

・お米の収量は木村式自然栽培を始めたばかりのころは単位面積(10a)あたりの収量は4.2から4.3俵だそうです。木村さんやり方をきちっとすると減りはしない。あとは工夫ですが、しかし、横着をすると減るとのことです。去年は6.2俵で今年はもう1割くらいさらに良さそうで、生産意欲が高まると収量は良くなるのだと思います。

・今農家さんに1俵(60kg)あたり21,000円お支払いしているので、農家の手取りは12万円以上になっています。12万円を超えると持続可能になります。

 

 私は23,000円まで上げたいと思っていて単位面積(10a)あたりの収量を7表まで上げれば、140,000円になるので家を建てられて子供を大学まで行かせることができると思っています。ちなみに我々のところのリーダーは9.2俵、8俵の方はかなりたくさんいます。山形の酒田の佐藤さんは10俵とられています。

 

 映像で髙橋啓一さん次のように言います。「私は計算してみました。籾の株が33株で、分蘖 (ぶんけつ)したのが20から30株で、籾に30粒ついて、23gとすると欠株が無ければ13.7俵となり慣行栽培を超えるだろうと思っています。」

 

 また、収量の差は、夫婦仲良く和気藹々とやることにあると思っています。自然栽培は作る人の思いが大切になります。

 

 木村さんが言うには自然栽培に切り替えたら土壌の残留農薬は一年間で80%消えるとおっしゃいます。翌年は残った20%の80%が消えて4%になり、その翌年には0.8%となるそうです。

慣行栽培は目に見える葉っぱを大きくして、自然栽培は目に見えない根を大きくする。

 

 一般の慣行栽培の米は2年目から古米臭がします。

自然栽培のお米は熟成するので劣化せずマイナスにならなくて15度75%の湿度で5から6年後に一番、美味しくなります。

 

 慣行農法の農家さんに、なんで農薬を使うのか尋ねますと同じ答えが帰ってきます。それは、隣がしているから、です。自分でどうしたら良いか主体性を持って考えないといけなくて、自然栽培をすると言うことは、自分が主体性を持って考えることなのです。

 

 そして、正直な人しかできなません。信じることが大切です。木村さんができる!と言いますが(やらない人は)みんな信じません。

今、肥料が前年比70%値上がりして、98%の農家が赤字になると試算されています。自然農法への政策転換のタイミングが来ています。

地上を流れる水で米を栽培しているのは日本だけです。

縁の中で広げたものは大量生産、大量販売とは異なるものとなります。

 

 岡山の宿泊しているホテルに福瀬さんが迎えにいただき、おおよそ50分くらいでお店に到着しました。店は新倉敷の田んぼのど真ん中に店はあります。

店の入口や店内には自然栽培米の「あさひ米」を使い、生本鮪をウリにしていることを訴求しています。

店内は活気があり勢いがあります。

オーダーはタッチパネルです。こちらでもあさひ米と生本鮪の訴求をしています。

印字されたメニューもあるので見てみましょう。

おすすめメニュー、グランドメニュー、本日のおすすめがあります。

 

早速、福瀬さんが見つけていただいたこちらだけのメニュー「生マグロ10種盛り」1,600円(税込1,760円)、注文しましょう。

あと、小鰭を注文します。小鰭が来ました。醤油は地元の「鷹取醤油 無添加寿司醤油」です。福瀬さんによれば、こちらが地元の醤油だそうです。

回転寿司は醤油とシャリがポイントです。使用している醤油のバリエーションや塩分濃度は客層を決めます。

シャリは西なので私には甘めです。

 

生マグロ10種盛り1,600円(税込1,760円)が来ました。

血合いの唐揚げ、中落ちのユッケ、串焼き、

握りは、赤身、柵漬けにした漬け、中トロ、ねぎとろ、大トロ、炙り中トロ、蛇腹トロ。

そんなに大きくない畜養マグロではあると思いますが、生本鮪で1,600円(税込1,760円)の値付けは極めてリーズナブルで大変お得です。そして、この段階でかなりお腹がいっぱいになります。

 

続いて、気になったので「奇跡の味噌炙り 真鰺」(税込330円)を注文。

奇跡の味噌は自然栽培米を使っているようです。

味噌の濃厚な味わいです。

 

福瀬さんが大トロ(税込539円)を注文してみようということになりました。

やはり、蛇腹の大トロ。

しかし値付けが安いですね。

 

手作り茶碗蒸し(税込330円)と蝦蛄(税込440円)を注文しました。

蝦蛄はかつて岡山の名産品でしたが、かなり水産資源は全体的に枯渇している模様です。この蝦蛄は多分中国産ですね。

 

最後に煮穴子(税込385円)を注文します。濃厚なツメです。

アサヒ米がどうだったかはよくわからなかったですが、何かと面白い回転寿司店でした。

 

専業農家さんの収入安定のためにがんばっていただきたいですね。

儲からなくなった農家さんを増やし、食糧を安定させるのはやはり飲食店なんだなと実感しました。

 

すし遊館 新倉敷店

〒713-8113 岡山県倉敷市玉島八島1559−1

電話 086-523-5151

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